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空白期間の過ごし方ノススメー東北1人1周旅行ー


突如、人生最大の夏休みがやってきた。

去年の7月、3年間勤めた職場を何のプランもないまま退職した。
退職することは計画的に決めたくせに、退職してしまえば私のその後の道は雑草道であった。整地もままならない、畦道を歩き始めた感覚だった。
けれども、最後の出勤日の帰り道。ロッカーの荷物をまとめ、普段よりも手提げを多く持ち、家路についた私の気持ちは、終業式を終えた小学生の高揚感と同等であった。
「夏休みが、やってきた!!」

着替えとカメラを詰め込んで

何も決めずに退職した私は、次の日思う存分寝た。とりあえず寝て、食べて英気を養った。普段は観ることの無かった朝の情報番組を観ながら、唐突に思い付く。
「あ、東北一周しよう」
おおまかなとりあえずのルートだけを決めて、ホテルも取らぬまま、数着の着替えとカメラを持って、たった1人私は車のアクセルを踏み出した。

総走行距離約3600km、ぐるり一周
-秋田県

出発日、まずは秋田県の田沢湖を目指すことにした。透明度が日本一の湖。たつこ姫の伝説が残る綺麗な湖だ。
丸々約12時間かけ、到着。関東から東北へ、1日目は移動で終わってしまう。
田沢湖付近の宿へ1泊。着く頃にはいくらか薄暗く、田沢湖を眺めることは出来なかった。
翌日朝。
温泉に浸かり、朝食をたらふく食べいざ参らん。
坂を下り光の乱反射が散らばる。
カメラを持って歩き出す。遠目からでもその透明度は明らかだったけれど、近くで見るとより綺麗だ。浅瀬を泳ぐ魚達の右往左往が、手に取るように見えるのだ。午前9時頃ではあったが、人気はなく駐車場近くのお土産屋さんから店員さんの話し声がぽつぽつと聞こえるだけ。
青く広がる空と、それを綺麗に映し出す湖の狭間。
技術もテクニックもないけれど、瞬間の美しさに思わずシャッターを夢中で切る。
午前9時半、つい1週間前まで眠気をこらえて仕事を開始するような時間だ。常に先々のタスクに追われていた。
「勝手に焦って、勝手に追われて、四方八方塞げていたのは自分かも。」
田沢湖の透明度に誘われて、私の心も徐々に透過していく気がした。

冷麺からのスタートー岩手県

田沢湖を後にした私は岩手県へ向かい横断する。
岩手県と秋田県のちょうど県境。
岩手県に少し入ったところで昼食を取ることにする。普段から大好きな冷麺。
本場を、食べなければ。
冷たくもっちりした麺とひんやりしたタレがおいしい。お酢を効かすと、更にさっぱり、つるりんと。
さあ、お腹を満たしたら次に目指すは日本三大鍾乳洞の1つ、龍泉洞。

東北に来たとは思えないくらい暑い日差しの中、私は再びアクセルを踏み出すのであった。

続く。


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