対話メモ #2(KITイベント「ティール組織の人事ってどんなことをしているの?」)

2020年2月5日(水)KIT(金沢工業大学院)虎ノ門キャンパスにて、ティール組織に関するイベント(参加者同士で対話するセッションあり)があった。日本のティール理論の第一人者で『ティール組織(英治出版)』の解説もされている嘉村賢州氏から様々なキーワードが示唆された。ティール組織っていったいどんな組織なの?という感覚を、メモを通して何となく掴んでいただけたらと思う。

ティール組織が見いだされるに至った背景

フレデリック・ラルー(『ティール組織』著者)は、昨今、個人は会社や家族へのコミットメントはあるものの社会や個人としてのコミットメントが弱いといった経済社会に対する問題意識をもっていた。彼は様々な分野の歴史を遡って調べてみたところ、社会には大きな流れがあることを発見した。

①狩猟~農耕時代:生産性を確保するために自然や人を人が(指揮命令などにより)コントロールするようになった

②情報革命時代:競争の激化。様々な対象が機械化され、ものさしで人を測る評価制度も導入される

③new society:自分で選ぶ時代(サドベリー教育、オルタナティブ教育)、自然農法、共生農法

ラルーは、③の流れを目の当たりにした時、組織の新しいやり方がありそうだと気づいたそうです。

ティール組織のもつ特徴

Tealがもつ特徴は以下の3つ

①自主経営:一人ひとりの意思決定を大切にしている状態

②全体性:その人らしさが発揮されている状態

③存在目的:中長期目標を持たない、その瞬間瞬間に変えながら進んでいく

Tealには現場の仕事と幅広い仕事があるだけで、一緒に取り組んでいる(共生している)イメージ。注意しなければいけないのは、ティールは正解でも目指すべきものでもない。欧州諸国を中心に変化の動きがあるだけで、大切なのはヘルシーかアンヘルシーなのか。(行動がおそれからきているのではなく、思いやりや貢献したいというやり方でやっているのか)

個人の自律・発達が大事で、例えば人事はそれを促す環境づくりが大切になる。メンバーは組織という生命体の一部であるため、入れ替わりと同時に組織の理念や存在目的は変わりうる。組織の目的と個人の目的があって、一緒にいた方が達成しやすいなら組織に残ればよいし、別の組織の方が達成しやすいなら他の組織に行けばよいだけ。こうした生態系を豊かだと捉える。

全員がリーダーであり、全員がフォロワーである。(その時その時の得意分野によって入れ替わるだけ)

理念の「浸透」や人的「資源」といった表現はそぐわない。もともと同じ存在目的を共有する生命体である以上、理念は浸透させるものではないし、資源という表現も一人ひとりのその人らしさからも遠い表現である。ものさし主義もNG。2:6:2の法則が頭に浮かんだり、仲間にネガティブに思っている時点でものさし。そうではなく、なぜこの人はまだこの人らしさを発揮できていないのだろう、と考える。

ティール組織におけるリーダーシップ

リーダーがどれだけさらけ出せるかが大事で、カチカチだとNGという話があった。リーダーの態度や雰囲気は伝播しやすいため、自分が元気でないといけない。そのためには内省する時間や、自己認識力が必要。

組織内のコミュニケーション伝達においては、コンセプチュアルな言葉はNGで、合言葉などは作らない方が良い。コミュニケーションの土壌をどのように整えるかも重要である。

特に組織の代表は、意思決定や問題解決に割く時間が減り、組織の顔としての機能が求められる。現場は組織の顔である代表(ソース)を都度見て、問合せ、そして現場に戻っていく。つまり現場にとっての上司は存在目的でありそれが拠り所となり自主的かつ能動的に意思決定をしていくことになる。ソースである組織の代表は、組織が何のために存在しているのか?を変化する与件に合わせて考えることに集中する。


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