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タイトルはまだない(小説的なそれの連載、有料話あり)

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あらすじもまだありません。 ほぼ毎日、最少200字の連載です。 10話ごとくらいに有料エピソードありの設定です。
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記事一覧

137:一〇月二〇日 紅姫竜胆(一四)

槇湖さんが亡くなった後にも二年ほどドイツに住んでいたらしく、佐亜紗ちゃんが小学校に入学す…

tokocahier
11時間前

136:一〇月二〇日 紅姫竜胆(一三)

「だって、ちょっと話を聞いただけでその翌日にドイツへ行っちゃうなんて。」 そう、確かに省…

tokocahier
1日前

135:一〇月二〇日 紅姫竜胆(一二)

だって、それがもし本当だったとしたらあの男は亡くなった女性の娘まで追いかけ始め、その子が…

tokocahier
2日前

134:一〇月二〇日 紅姫竜胆(一一)

家に入ると昌哉はまずキッチンで手を洗って、居間の仏壇にお線香を上げて手を合わせた。写真の…

tokocahier
4日前

133:一〇月二〇日 紅姫竜胆(一〇)

あんまり遅くなるのもといって、昌哉は私の家族のことを気遣って早めに帰るようにしてくれた。…

tokocahier
5日前

132:一〇月二〇日 紅姫竜胆(九)

昌哉の匂いが懐かしくさえ感じられる。省吾さんと佐亜紗ちゃんが居ないのをいいことに、ここぞ…

tokocahier
6日前

131:一〇月二〇日 紅姫竜胆(八)

なにを期待していたんだろう、私は。やっと、駅へ向かって歩き出した。 イッチーがいないだろうかと見るふりをしながら昌哉を探している。商店街まで来ると、ショーウィンドウに映る自分の姿を見てがっかりする。なんともスッキリしない顔つきをしている。駅へ歩き出そうと振り返ると、目の前に立ちはだかる人があった。 「あれ?今日、なんで?」 昌哉だ。私は思わず抱きしめて、その胸に顔をうずめた。しかも涙まで零れそうになっている。昌哉の匂いがやさしいせいだ。彼はそのまま私を抱きとめてくれていた、人

130:一〇月二〇日 紅姫竜胆(七)

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tokocahier
8日前

129:一〇月二〇日 紅姫竜胆(六)

そのとき、ちょうど宅配便らしき制服にキャップのお兄さんがやって来たので、ここぞとばかり、…

tokocahier
9日前
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128:一〇月二〇日 紅姫竜胆(五)

「えぇ…まぁ、留守の間、家の管理を頼まれていまして。」 「帰国予定はご存知ですか?」 「今…

tokocahier
10日前

127:一〇月二〇日 紅姫竜胆(四)

「あの…、実はぼく、佐亜紗さんのクラスへ教育実習に来ておりまして、」 私はハッとした。確…

tokocahier
10日前

126:一〇月二〇日 紅姫竜胆(三)

宅配業者が集荷に来てくれるのを待っていたものだから度々玄関先を見ていたのだけど、やっと人…

tokocahier
11日前

125:一〇月二〇日 紅姫竜胆(二)

こんなことを考えていた矢先、省吾さんから頼まれ事をした。共通の友人から依頼を受けてという…

tokocahier
13日前

124:一〇月二〇日 紅姫竜胆(一)

りっちゃんと弥生ちゃん、変に思わなかっただろうか。あのときの二人の視線がどうも気になる。滅多に会うことはないだろうし、週一回のお掃除も午前中に行けば、二人は学校に行ってるはずだから、先日のように出くわすことはないだろう。 昌哉は普通にしてればいいよなんて言うけれど、あの歳頃は女の子たちの方がいろいろ敏感だと思う。私が恐れているのは…、変に勘違いされたくないということだろうか。勘違いもへったくれもないくせに。 今度、あの子たちに会うとき、どんな顔をしたらいいんだろう。そんな風に