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もう少しで退社する。
有休消化をのぞくと会社へ足を運ぶのは残り数日。
辞めようか続けようかは1年半ほど悩んでいた。30代に入ってからはここにいるメリットとデメリットを何度も天秤にかけた。加えて、昨年会社全体である変化があり、その中で辞めるのは忍びないと天秤にかけるのを一旦やめて結論を先延ばしにしていた。
今年に入り落ち着いたところでもう一度メリットとデメリットを天秤にのせる。メリットの方が少し重い気がした。それでも私は、辞めることを決めた。
人間関係が最悪と言われればそうでもない。
キーボードを必要以上に叩く営業や機嫌が態度と声と口数に出るお局にストレスはあったものの、我慢すればいいだけだった。部長に制服のスカートのサイズが合ってないんじゃないかと笑いながら言われたことがずっと小骨のように引っ掛かってたけど、その人は定年退職したし。こっちが話してるのに途中で言葉を上から乗せて自分のターンにする人も悪人というわけではない。個々の癖はあれどこっちがうまく対応すればいいだけの話で、関係性はうまく築けていたと思う。
ただ、表情が次第になくなっていくのを感じていた。下っ端だから仕方ないと言い聞かせて顔のチャンネルをその人に合わせたら、私のチャンネルがわからなくなった。
構ってちゃんなのか、なんであんなに物音うるさいんだろう。どうして自分で機嫌をコントロールできないんだ。スカートがきつそうに見えたせいで制服で外に出るのが恥ずかしくなったし、話を上乗せられて私の気持ちは私の中で消化しなきゃいけなくなったじゃないか。負の感情が私の内側にぎゅうぎゅうに詰め込まれ、圧迫されて、苦しくなっていった。
GWが明けた頃。上司に辞めたい旨を伝えた。驚いてた。引き留めてはくれたものの最終的には承諾してもらった。
ああ、ここから離れられる。そう思うと心が軽くなるのを感じた。この日まで行けば解放されるという気持ちで胸がいっぱいになった。
メリットを失うことへの不安はある。だからこそずっと天秤にかけていたけど、結局奥底で気持ちは決まっていたみたい。やっと、自分の気持ちを見つけることができた。
残りわずか。最後の日まで顔のチャンネルを合わせ、出来る限り跡を濁さないよう、最低限がんばります。
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