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【Q&A】特許の審査では特許公報を何千件も読むのか?

先日、企業の知的財産部門の方と食事をしました。
とてもお疲れのご様子。特許調査でものすごい量の特許公報を読んだということです。

その際に、こんな質問をされました。
「審査では、何千件も特許公報を読んでいるようだが、本当か?」

本記事では、この点について解説してみたいと思います。

個人の方が、ご自身の発明で特許になるかを調べる際にも参考になるでしょう(ただし、個人の方がご自身で特許調査することを勧めるわけではありません。私ども専門家にお任せください。)。

■特許の審査では特許公報を何千件も読むのか?

結論としては、
✔特許の審査では、何千件も特許公報を読むこともあります。
✔ただ、「読む」の意味が少し違うかも知れません。読む労力も、想像とは違うかも知れません。

何千件も特許公報を読むといっても、すべて平等に、何千件も端から端まで読むわけではありません。

特許の審査は、Googleの検索結果とは違います。
関連性の高い特許公報を、適当な数ピックアップするという性質のものではありません。

さらに言えば、審査結果(拒絶理由)は、適当にピックアップした特許公報を、適当に組み合わせて、ハイ拒絶!とするわけではないのです(笑)。

■主引例と副引例を探す

特許の審査における特許調査は、ざっくりいうと次のように行われます。

①審査対象となる発明に、「最も近い発明」が記載された特許公報を探します。
この特許公報は「主引例」と呼ばれます。主引例は一般には1つです(引用文献1)。この最も近い発明は「引用発明」などと呼ばれます。

②審査対象となる発明と、引用発明とで違いがある場合は、その違いに関連する事項が記載された特許公報を探します。
この特許公報は「副引例」と呼ばれます。副引例は2つ以上になることがあります(引用文献2~n)。

①の作業では、特許公報をしっかり読み込みます。

②の作業では、関連事項のみを読みます。
審査対象となる請求項が多いと、それこそ、かなりの数の特許公報に目を通すことがあります。ただし、労力は①ほどではありません。

①と②の総数が、数千件になることもあります。
ただし、①だけで何千件も読み込むということはまずありません。

■特許を出す前に、十分に特許調査を行いましょう!

本記事では、審査官が行う特許調査について、概説しました。
いかがでしたでしょうか?

特許を出す側としては、特許調査は、特許を出す前に行います(当然ですが、特許庁は、特許出願前の十分な特許調査を推奨しています)。

本記事は、個人の方がご自身で特許調査することを勧めるものではありません。あなたの発明が特許になるかの判断は、私ども専門家にお任せください。

特許を出す前に、審査官と同じような特許調査を行うと、どれだけ有利になるか、ムリ・ムダ・ムラのない特許になるかがご理解いただけたと思います。

冒頭の知的財産部門の方が、①だけで何千件も読んでいないことを祈りつつ、本記事を書いてみました。次回はお疲れでない状態でお会いできるかも知れませんね(笑)。

弊所:東雲特許事務所(しののめ特許事務所)では、企業様からの特許のご依頼(特許調査・特許出願)もお待ちしています。

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東雲特許事務所(しののめ特許事務所)
弁理士 田村誠治(元特許庁審査官)
【東京都港区新橋】【東京都中央区八丁堀】【東京都北区田端】
【稀有な経歴】特許技術者→特許庁審査官→特許事務所運営

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