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他社の特許に抵触しないために ~知らなかったでは済まされない(過失と推定される?)

(Q)自社で新製品を開発しました。特許出願を終えました。これで、他社の特許を侵害することはないですね?

(A)特許を出願することと、他社の特許を侵害するかどうかとは、別の話しです。特許出願とは別に、他社の特許に抵触しないかどうかについて、十分に注意する必要があります。

以下いくつか関連事項を説明します。

●他社特許の存在を知らなければ、他社特許に抵触しても大丈夫か?

では、他社の特許の存在を知らなければ、他社の特許に抵触しても大丈夫でしょうか?

いえ、大丈夫ではありません。まず、実際に知っていようがいまいが、他社の特許を侵害したら、その侵害行為の差し止めを受けることがあります。つまり、製品の製造や販売の継続ができなくなることがあります。さらに、製品の廃棄等を命じられることがあります。

また、損害賠償を請求されることもあります。一般に、損害賠償請求は、その行為について、故意または過失であることが要件の一つとされます。他社の特許の存在を知らなければ、それを実施したとしても、故意でも過失でもないとも考えられます。

しかし、特許の場合は、事情が異なります。「過失の推定」という規定があります。特許発明の内容が、特許公報により公示されますので、その内容を知っていると推定されてしまうのです。

過失の推定については、これ以上の説明は割愛しますが、要するに、「知らなかったでは済まされない」ということです。

●特許権の侵害行為を防止するためにできること

では、特許権の侵害行為を防止するためには、どうしたらよいでしょうか。

それは、どのような特許権があるのか「調査」をすることです。これが最も確実です。大手企業の場合は、また別の考え方もあるようですが、その点については別の記事で述べます。

特許調査をご自身でやるとすれば、『特許情報プラットフォーム』でも、ある程度のことは調べられます。

さらに確実性を高めるためには、プロに依頼して、いわゆる「侵害予防調査」を行います。調査専門の弁理士がいる特許事務所や、特許調査会社等に依頼すれば、対応してくれます。

●新製品開発の際には、十分な特許調査を

冒頭に述べたように、特許を出願することと、他社の特許を侵害するかどうかとは、別の話しです。

たしかに、特許出願の際に、特許事務所に依頼すれば、特許の調査(先行技術調査)も行ってもらえる場合があります。また、特許出願の審査が進めば、審査の結果も参考になります。

しかし、先行技術調査や、審査の結果は、「侵害予防調査」とは異なります。自社製品が複雑なものになればなるほど、抵触するおそれのある特許の数も増えます。

社運を賭けるような新製品を開発する際には、適切なタイミングで、十分な特許調査を行うようにしてください。製品を開発する前、特許を出願する前、製品を製造する前など、調査のタイミングはケースバイケースです。一般には、調査のタイミングは、早ければ早いに越したことはありません。

以上、ご参考になれば幸いです。
最後までお読みくださりありがとうございました。

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●元ブログ(+αの情報あり)

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東雲特許事務所(しののめ特許事務所)
弁理士 田村誠治(元特許庁審査官)
【東京都港区新橋】【東京都中央区八丁堀】【東京都北区田端】
【稀有な経歴】特許技術者→特許庁審査官→特許事務所運営

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