展示会で見かけた紛らわしい特許表示・商標表示
先日、東京ビッグサイト(国際展示場)の展示会に行ってきました。展示品とともに、特許や商標に関する表示もたくさん見かけました。
その中で、紛らわしいなと感じたものがいくつかありましたので、少しご紹介します。御社が、特許表示や商標表示などをする際の参考になればと思います。
(1)紛らわしい特許表示
製品が展示されていて、その脇に、単に「特許取得」「特許出願中」と表示されているものがあります。これだと、その製品のどの部分が特許(特許出願中)なのか、わかりません。
たしかに、どの部分が特許なのか、明らかにしたくない場合もあるでしょう。意図的に、ぼやかしているのかも知れません(「虚偽表示」とまでは言いませんが、ぼやかすのは、積極的には推奨しません。)。
すでに特許を取得している場合で、技術力をアピールしたいのであれば、特許についての詳細な説明があった方がいいと思います。実際、特許についての詳細な説明がある場所には、人も集まって、技術力のアピールになっていたようです。
(2)紛らわしい商標表示
商品名や、マークやロゴとともに、商標である旨の記載がされていました。
例えば、登録商標については、「登録商標」の文字や、登録商標であることを表す「丸囲みのR」です。また、未登録の商標でも、「商標」の文字や、商標であることを表す「TM」などが記載されていました。
展示会ですから、デザイン性を重視するのはわかります。しかし、1つの商標を、複数段で表現したり、色分けしたりすると、問題が生じるおそれがあります(もともと、イメージ商標として、そういうものである場合は別です。)。
●問題が生じるおそれがある商標の使用の例
例えば、弊所が、文字商標として、「東雲特許事務所」を商標登録したとしましょう。
これを、以下のように、2段で表示したとします。
「東雲
特許事務所 (R)」
しかも、「東雲」と「特許事務所 (R)」とで、色分けされていたら、どうでしょうか。
あたかも、「特許事務所」の部分が、登録商標のように見えるでしょう。
この例は、「特許事務所」が普通名称なので、この部分が登録商標でないことはわかると思いますが、より抽象的な表現の場合は、上記問題が生じやすくなります。
●登録商標と異なる表現の仕方をした場合
なお、登録商標と異なる表現の仕方をした場合、以下に該当するおそれがあります。
・登録商標を使用をしていない(不使用)
・登録商標の不正な使用をしている(不正使用)
商標の不使用や不正使用は、商標が取り消される理由となり得ます。
特に、不正使用については、御社が商標のライセンスを受けている場合には、注意が必要です。
ライセンシー(商標のライセンスを受けている者)が不正使用している場合、ライセンサー(商標権者)の登録商標が取り消される事態になるおそれもあります。
(3)その他
実用新案登録の表示も、上記の特許表示と同じです。実用新案登録の表示も特許表示と同様に、一定の模倣防止効果や、宣伝広告効果がアピールできています。
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いかがでしたでしょうか。わたしの場合、せっかくの展示会も、このような点ばかりが気になるのは、職業病なのでしょうか(笑)
上記の点はあまりに過敏になる必要はありませんが、知的財産の適正な活用が望まれるところです。ご不明の点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
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東雲特許事務所(しののめ特許事務所)
弁理士 田村誠治(元特許庁審査官)
【東京都港区新橋】【東京都中央区八丁堀】【東京都北区田端】
【稀有な経歴】特許技術者→特許庁審査官→特許事務所運営
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