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簡単に持ち運びできて、使い勝手が良い「座位保持補助ユニット」

座っているとおしりが前にずれてしまったり、身体が横に傾いてしまういわゆる「ずれ座り」。専用の「ずれ防止」機能が備わった椅子に座らせられれば良いのですが、いつでもどこでもそんな椅子があるとは限りません。

この「ずれ座り補助パッド」は、バッグに入れて簡単に持ち運びができ、使用時もあまり目立たず、椅子への脱着も簡易に行えるという使い勝手の良い商品です。この「ありそうでなかった」商品がどのように誕生したのか?開発の経緯をお話します。

「座位保持補助ユニット」装着イメージ


開発のきっかけ

千葉県の児童デイサービスセンターに伺ったときのこと。施設長さんから「体幹が弱く、座位姿勢を保つことに苦労している子どもが多い」というお話を伺いました。こちらの施設ではそのような子どものために、自作の補助ユニットを使っているそうです。そこで、「赤ちゃん用の椅子のように股の部分で軽く支えられ、且つ持ち運べるような補助的な道具を作れませんか?」というご相談を受けました。

確かに毎回手作りというのは大変だし、耐久性の問題もあります。簡単に持ち運べて「座位」が保持できる、そんな製品があればきっと喜ぶ人は多いだろうな、ということで「座位保持」を補助できる製品の開発に着手することにしました。

開発にあたって

まずは大きさの検討から入りました。参考にしたのは、療育現場で使われていた手作りのもの。こちらをもとにいくつかのサイズを試してみます。

療育の現場で使われていた手作りの座位補助ユニット

当初、芯材には丸棒タイプの「木」を考えていました。ただ、木ということで丈夫ではあるけれど「硬い」という問題がありました。そこで、強度や柔らかさ、加工のしやすさなど様々な要素を考慮した結果、「発泡ポリエチレン」という素材を使うことにしました。

初期のサンプルを使った療育現場でのモニタリングの様子。今よりも二回りほど大きい。

芯材を覆うカバーは、ある程度の強度があって汚れに強いもの(汚れたらすぐ拭き取れる)ということでレザーを採用。

椅子への取り付けは、なるべく簡単で、どんなタイプの椅子でも使える様にしたかったので「バンド」にしました。さらには、座面とに接直部分にスベリ止めを付けるというアイデアも盛り込みます。

椅子への取り付けは、簡単に着脱できて、サイズ調整も容易にできる「バンド」仕様に。
椅子との設置箇所に取り付けた「滑り止め」。


こうして製品として「カタチ」になった段階で試作づくりに進みます。ここでいくつかの微調整を行い、モニタリング用のサンプルを製作。いざ療育の現場でのモニタリングでの検証作業に入ります。

最初のサンプル品は赤いレザーで作りました。

この「座位保持補助ユニット」の場合は、モニタリングに約1年かけました。数日程度の使用では、連続使用での結果や耐久性など、なかなか気づかない部分も多いですからね。

現場でのモニタリングの様子。

ちなみに、モニタリングに協力してくれた写真の女の子は当時小学校1年生、普段は車いすでの生活です。ご家族で回転寿司店に行った際、いつもは車いすに乗ったままだけど、「座位保持補助ユニット」を自分専用の座布団に装着し「お店の椅子にみんなと一緒に座れた!」と大変喜んでいたとのことです。嬉しい!

開発担当の後藤より

「開発当初は『大きさ』と『色』を選定するのに苦労しました。色は木製椅子などと同色系のベージュにしました。その方が目立たないので良い、とのご意見多数ありました。しかし子どもによっては赤、青など好きな色使いの方が楽しいケースもありますので、今後色数は増やしていきたいです。また必要に応じてサイズ展開なども検討していきたいと思っています。現場のニーズに合わせて柔軟に商品の改良も行っていきたいと考えています」。


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