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生まれ育った街で未来を創る

IWATE PRIDEとは
岩手で活躍する”人”にスポットを当て、魅力を伝えるコンテンツです。さまざまな角度から、大切な”人の想い”を伝えていきます。
(本コンテンツの前身は、2020年~2023年まで岩手県と協働で行った「いわてプライド」です。当時掲載した記事を織り交ぜながら更新しています)


お話しを伺った方

大船渡市商工港湾部 産業政策室 猪股大貴さん(2022年取材)


絶景と海鮮の街・大船渡市

猪股さんは今年、大船渡市の職員として働き始めて10年目を迎えた。大船渡市といえば、雄大かつ美しい風景と豊かな海産物に恵まれた街。

市内には国立公園の碁石海岸や、大船渡市と釜石市、住田町にまたがる三陸沿岸の最高峰「五葉山」があり、産直やスーパーにはホタテ、ワカメ、アワビなどの新鮮な魚介類が並ぶ。

この街で生まれ育ったという猪股さんは、高校卒業後、大学進学のために上京。
3年生だった2011年3月に東日本大震災が発生し、当時はテレビに映る故郷の姿を信じられない思いで見つめていた。

猪股さんおすすめの大船渡温泉から見た朝焼け。震災からの復興や人々の憩いの場となることを目指し、2014年にオープン。日本一の絶景が広がる宿としても知られている(写真提供/猪股さん)

故郷のために働きたいという思い

「震災直後はなかなか地元に戻ることができず、池袋の駅前で同級生と一緒に募金活動をしました。そのとき自分と同じ年代で、大船渡市出身でない人が1万円を募金してくれたんです。離れた土地で大船渡を思い、人の温かさに触れるうちに、将来は地元で暮らしながら街のために働きたいと考えるようになりました」

卒業後、大船渡市職員としての道を歩み始めた猪股さんは、これまで企画調整課や水産課、農林課などの業務を経験。
現在は産業政策室の一員として、新しい産業の創出や地域おこし協力隊の活動支援などを担当している。

取材当日は地域おこし協力隊との定期交流会があり、猪股さんの仕事風景を垣間見ることができた。

終始、和やかな雰囲気で進む定期交流会

地域おこし協力隊との関わり

現在、大船渡市で活動する地域おこし協力隊は、総勢5名。
ICTの推進活動や廃校を利用したアクティビティの実施、ワインの醸造、漁業など、自分の得意分野を生かしてさまざまな取り組みを行っている。
なかには街の人に喜んでもらえることが嬉しくて、新たなスキルを習得して活動の幅を広げる隊員もいる。

交流会ではお互いの活動報告に加え、さまざまなアイディアも飛び交っていた。猪股さんはそんな協力隊の話にじっくりと耳を傾け、課題や悩みがあれば一緒になって解決策を考えて提案。

その姿から伝わってくるのは熱意ある誠実さで、協力隊のメンバーも信頼を寄せている様子だった。

漁業で活躍中の隊員が丸2年かけて養殖したホタテ。その大きさに、思わず目が釘付けになる

目指すのは街も人も輝く未来

「地域おこし協力隊の活動は、それ自体が地域の活性化につながる大切なものです。協力隊の皆さんは大船渡市への移住という大きな決断を経て活動しているため、行政としても、やりたいことを実現できる環境づくりのほか、隊員が孤独にならないためのサポートを重視しています」

新たな土地で一から人間関係を築き活動することは、決して容易ではない。だからこそ猪股さんは一人一人と向き合い、対話する時間を大切にしている。
協力隊もそうしたサポートを受けながら、大船渡という街が持つ可能性を見つめて新たな挑戦を続けている。

大船渡市の魅力を発信する協力隊のメンバーと猪股さん

これからも住みたい街であるために

大船渡市の子どもたちは、高校を卒業すると進学や就職をきっかけに県外へ定住するケースが少なくない。
猪股さんは、自身も東京の大学に通っていたからこそ「一度、街を出るのは良い経験になります」と振り返る。その上で目指すのは、大船渡の街が将来的に住みたいと思える場所であることだ。

「やりたいことに挑戦できる環境は、子どもにも大人にも必要なもの。そういう場所を目指すことで、多くの人にとって大船渡が“住みたい街”になっていくのではないかと思います」

日々、街の未来のために奔走する猪股さんを支えているのは、地元の人々や協力隊はもちろん、同じ職場で働く職員の存在も大きい。

「前向きに物事を捉えて助言してくれる人が多いので、課題を一人で抱え込むことはありません。そういった人たちが周りにいてくれるからこそ頑張れると感じています」

何よりも人とのつながりが大切だと語る猪股さん。これからも多くの仲間とともに、この街で挑戦を続けていく。


▼地域おこし協力隊のメンバーが手掛けた大船渡市のPR動画



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