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元国税職員から見た【 裏金問題 】

 みなさん、義務教育で習った三権分立制度を思い出してください。
 国会(立法府):言わずとしれた法律を制定する権限があり、所属する国会議員は、国民の投票により選出される。
 内閣(行政府):トップは内閣総理大臣であり、国会議員でもある。国務大臣のほとんども国会議員である。国会議員は、特別公務員として、位置付けられており、実際の行政事務は、一般公務員が行う。

 国税庁を含む行政庁職員は、法律に従って職務を全うするものです。自民党の国会議員や秘書が政治資金規正法に違反したとしても、納税義務が生じるか否かは、別問題です。国会で追及する野党議員もそれは理解した上で、国税庁に対して、「脱税しているか否かを調査するよう指示しろ!」と政府に迫ったり、SNSで「#確定申告しない運動」などと煽る輩は、矛先が間違っています。

 国税庁は、財務省の外局であるというような組織論もありますが、所得税法等に照らし、脱税の事実があると認められる場合には、当然、調査を行い、課税も徴収も行います。そもそも、抜け道のある政治資金規正法を立法したのは、国会議員です。その国会議員を選出したのは、納税者である国民です。
 
 何かにつけ、批判の矛先を行政に求める風潮は、お門違いです。確定申告をしないで、損をするのは、当の本人です。税務職員に対し、国会議員の悪行を伝えても、全くの無駄です。

 政治資金規正法第9条(会計帳簿の備付け及び記載)における主語は、政治団体の会計責任者となっており、議員本人に責任が及ばないよう立法されています。また、同法第11条(会計責任者等が支出する場合の手続)第1項は、「政治団体の会計責任者又は政治団体の代表者若しくは会計責任者と意思を通じて当該政治団体のために支出をした者は、一件五万円以上のすべての支出について、当該支出の目的、金額及び年月日を記載した領収書その他の支出を証すべき書面(以下「領収書等」という。)を徴さなければならない。ただし、これを徴し難い事情があるときは、この限りでない。」と規定しています。これは、5万円未満の領収書が不要というだけでなく、「ただし書」が入ることで、理由を付ければ一切の領収書が不要という全くの「ザル法」であることが分かります。

 私自身、お役所は嫌いですが、現場にいる一般の公務員も、騙されてきた側です。皆さんの腹立たしい気持ちは、どこにぶつけるのか、どう行動するのか分かっていただけましたら幸いです。

 

 

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