弁証法思考 ~理解を深めて新しい価値を生み出す思考法
不透明な時代ということでしょうか、論理思考力がとても重要視されています。大きな本屋さんに行けば、自己啓発やビジネスのコーナーに、さまざまな論理思考の書籍が山積みされています。またビジネスの現場では「ロジックが甘い」などと厳しい上司に指摘されることもあるでしょう。あるいはコンサルティング会社就職の面接では、ホワイトボードの前に立たされて、わけのわからない質問(有名な例は「日本に電信柱は何本立っているか」)をされたかもしれません。
たしかに論理思考力はビジネスにとって強力な武器であることは事実です。たとえば、どんなによい商品やサービスだって「知らない人は購入しない」。もちろん「知っている人」全員が購入するわけではありません。それでも多くの人に購入してもらおうとすれば、多くの人に知ってもらう必要があります。だから広告宣伝するのですね。
でも広告宣伝には費用がかかる。「どんな人が購入しやすいか」を知ることができれば、その人たちだけに広告宣伝してコストパフォーマンスを上げられないか……などと進めていくのは論理思考の力です。
しかし論理思考には致命的な欠点があるのも事実です。その欠点を補完するのが弁証法思考なのです。どちらか一方、ではありません。その両方を駆使することで、深い理解を得ることができ、新しい発想を生み出すことができるのです。
残念なことに、弁証法をネット検索したり、書籍を探したりしても、出てくるのは難しそうな哲学の専門書ばかりです。われわれに必要なのは論理思考という思考様式であって論理学ではないのと同じく、弁証法思考という思考様式を身につけたいのであって哲学の専門家になりたいわけではありません。(論理学や哲学が無用だと言っているのではありません。興味の対象が異なると主張しているだけです。)
弁証法思考をビジネスで使えるように、このテキストを書きました。
大きな価値を生み出すビジネスパーソンは、弁証法思考を身につけています。おそらく弁証法思考という言葉は、意識していないでしょう。それは論理的な人が、論理思考という言葉を意識していないのと同様です。言葉を意識しなくなるくらい自然に考えることができるようになれば、きっと今までと違う世界を観ることができるでしょう。
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