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【日記】20070713


六本木


6の累乗階に停止するというエレベーターに乗った。

最初に降りたのは6階。
大勢の買い物客で賑わっていた。同行した仲間によると、このフロアはすべてショッピングモールになっているらしい。しかし、見た限りでは、広大なスペースはほとんど存在しないようだ。比較的小さめの空間に複数の店舗が入ったものが、半階くらいずつ複雑にずれこんだりしながら、おびただしい数の真っ白な階段によって連結している。エスカレーターはない。聞くところによると、各階の連絡にのみ巨大なエスカレーターが使われているそうなので、これでも5階や7階とは明確に区別されているものらしい。「ショッピングモール」というより「ショッピングラビリンス」といった様子なので、一端足を踏み入れたらこの場所に戻ってこられなくなる危険があると判断し、私達はそのままエレベーターへと引き返した。

次に降りたのは36階。
二つ目の停止階にして、すでに普段働いているオフィスの1.5倍もの高度に達していることに気付く。この階もまた、短い階段があちこちに見受けられた。店舗やレストランが適当に並んでいるが、6階ほどには混雑しておらず、人通りはまばらだった。

次に降りたのが216階。
窓があったので駆け寄って見てみると、もはや山の上からの眺めのようだった。扉の並ぶフロアは薄暗く、静寂に包まれていた。どうやら分譲マンションか何かの居住スペースになっているらしい。
この階に来て初めて気付いたのだが、建物を上から下まで貫く螺旋階段が近くにあった。噂に聞く「無限階段」である。のぞきこむと底知れぬ下方からの風が顔に吹き付け、私は目眩を感じた。この辺りから、このビルは6本の塔に枝分かれして、遥か上空へと果てしなく伸びていくのだ。

次の停止階は1296階。
窓からの眺めは、飛行機からのそれのようだ。地上は遥か彼方で空気に霞み、ほとんど空しか見えない。この先、7776階、46656階、279936階と無限に高度を増してゆくことを想像し、私は恐ろしくなった。果てしない上空にも人は住んでいるらしい。



13/07/2007




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