京都のさんぽ道~きぬかけの路③
まださんぽ中。(何日かけて仁和寺まで行くのでしょう)
衣笠中学校の正門前を通って、ふたたびきぬかけの路へ出る。
目の前に立命館大学の正門がみえてくる。
いま通ってきた道沿いの大きな建物は、堂本印象美術館だ。
建物からして堂本印象の作品そのもののようで、
白と金色が春の青空に映えて、
まさにインスタ映え日和。
自粛の影響でひっそりと扉が閉ざされていたけれど、
扉にも趣向が凝らされていて楽しめる。
立命館キャンパスを横目に、
衣笠山のなだらかな坂を上がっていく。
山肌の地層がむき出しになっていて、
タモリさんが好きなやつや、とふと思う自分に笑ってしまう。
考えてみればもう長く会わず、
これからも会うこともない同級生よりも、
芸能人のほうがずっと身近なんやなぁ。
一緒に年を重ねていって、
結婚しはった、
病気ならはったけど、もう元気そうやとか、
髪白くならはったとかなんとか。
友達よりもずっと近況を知っている。
プライベートだって知ってる。
そんな身近なタモリさんの大好きな地層を、
知識なく眺めながら、今度は坂をくだっていく。
やがて竜安寺だ。
こちらは金閣寺と違って自粛で閉まっていた。
「今頃だあれもいてしませんわ」
と金閣寺で警備員をしていたおじちゃんが言っていたけど、
閉まっているからじゃないの?と思う。
誰もいない石庭を目当てにしていたが、
ほんとうに誰もいないであろう竜安寺を過ぎ、
仁和寺へ足を延ばすことにした。
いつだったか京都にきた友人が、
京都で道に迷ったら必ず寺に出るね、といった。
有名無名の寺をあわせて一体いくつのお寺があるんだろう。
なかでも有名なのは清水寺だが、
二十歳になるまで行ったことがなかった。
学生時代に、関東からやって来たクラスメイトに、
案内するよう頼まれ、
本屋でガイドブックを立ち読みした。
どこにあるのかよく知らなかったからだ。
それでも道に迷い、交番で道を尋ねた。
恥ずかしいから、旅行客のフリをして、
友達の標準語をまねてみたけど、
たぶん、バレていたと思う。
さて、竜安寺からまっすぐ南へ降りると嵐電の駅がある。
嵐山へと走るチンチン電車だ。
夏には妖怪であふれる車内で、一度は乗りたいと思うが、
まだ時期でないし、
いまは自粛期間中、さすがに妖怪電車は走っていない。
車窓からの風景もだが、嵐電は駅名が
まさに映画のセットかいな、という風情で、わたしは好きだ。
その駅へと続く道も石畳でつい横道へそれて辿りたくなるが、
仁和寺でいくにはまっすぐ進まねばならない。
ちょっとだけ石畳を歩いて満足したことにして、
きぬかけの路へ戻ろう。
そろそろ仁和寺の筋塀が見えてくる。(5本線や!)
お地蔵様が出迎えてくれた。
(つづく)
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