”とりあえず迷ったらやる”という武器を手に入れて、自由の海を突き進む
森本さんは、日本初のココナッツ専門店ココウェルに勤務する、ココナティスト(ココナッツ専門家)だ。ココナッツにどっぷりはまり、催事の店頭で、SNSで、セミナーで、ココナッツについての様々な情報を発信している。
「一番最初は出荷業務の3か月短期バイトだったんですよ」
と、森本さん。それがもうすでに8年、正社員になって6年。どういう経緯で正社員になったのかを伺うと、
「夫が個人事業主になるって言いだしたんです」
え?会社を辞めて?
「そうなんです、とりあえず扶養に入るっていうので『じゃあわたし正社員になって、保険証とか扶養手当とか背負うね』っていうことで」
えー??なんていさぎよい!!
大多数の人ならきっと、「いやちょっと待て」と言うだろう。でも森本さんはためらわなかった。それを迷いなく言える彼女は、いったいどんな人生を歩んできたのだろう?
"いい子"だった子ども時代
奈良県生駒市の野山に囲まれた、開発が始まったばかりの新興住宅地で、子ども時代を過ごした森本さん。さぞ活発に野山を駆け巡ってわいわい遊んでいたのだろうと思いきや、
「教室の前に出てしゃべるのが絶対に無理で」
と言われてびっくり。
首まで赤くなって、声がちっちゃくなってしまうほど引っ込み思案だったなんて、今の彼女からは全く想像がつかない。
そして運動神経も本当に悪くて逆上がりもできなかった、という森本さん。でも今思えば、と彼女は言う。
「わたし長女で第一子だから、両親がとても手をかけて、大事に大事に育てたんだと思うんですよね」
第一子は初めての子ども故に常に手探り状態であり、えてして過保護、干渉過多、口やかましさの中で育つそうだ。森本さんも小さいころから、何をやるにも二言目には「危ない」と言われて止められてきたのだそう。
5歳下に妹が生まれると、そこに「お姉ちゃんなんだから」という言葉も加わった。そんなある意味"制約が厳しい"環境で育つうちに、いつしか「あれやっていい?」「これやっていい?」と先回りして聞くようになった。
「自分の意思がないというか…自分では決められない、全部確認してからじゃないとだめ、みたいな感じでずっと過ごしていたんです」
なんでも確認してからやる、
「やりなさい」と言われたことはきちんとやる、
「だめ」と言われたことはやらない。
そんないわゆる"いい子"として、森本さんは子ども時代を過ごすことになる。
習い事にあこがれて
とはいえ子ども心にあこがれたのが、"習い事"。森本さんは、バレエやピアノといった、女子っぽい習い事をしてみたかったそう。でも、森本さんの母はとことん現実的だった。
「母に『大人になったらそんなの使わへんからやめとき』って言われて(笑)」
「だめ」と言われたことはやらない森本さん、バレエやピアノを習うことは早々にあきらめた。でもなんでもいいから習い事がやってみたい!
「そんなに習い事がしたいなら…」
そう言って母が連れて行ってくれたのが、ご近所の奥様がやっていた英会話教室だったのだ。
時代は昭和後期、ちょうど洋画がテレビでも盛んに放送されていたころ。初めて映画館で見た映画はインディージョーンズ。パンフレットを買ってもらったことを覚えているぐらい、インパクトがあったのだろう。
洋画に興味を持った森本さんの「英語のセリフがわかるようになりたい」という気持ちと、母の「どうせ習わせるなら役立つものを」の思惑がぴったりはまり、小学校3年生から英会話を習い始める。
「半年に一度、外国人の先生が来てくれたり、すごく楽しかったんです」
それからずっと英会話を勉強し続け、国内にいながら英会話のスキルを習得。そう、興味を持ったことにはとことんのめりこむ、その性格は英会話で花開いたのだ。
高校では担任の先生に「英語の成績だけはいいのに、他はどうしたの?」と不思議がられるほど。短大でも英米語を専攻し、就職してからは、英語力が様々な国を旅する原動力の一つになったに違いない。
「今から思うと、ほんとありがたいと思います。でも、ピアノやりたかったなっていうのは今でもちょっと思いますね(笑)」
夫との出会いで人生が動き出す
母に「女子高行きぃや」と言われて決めた高校があったのは、大阪はなんばと梅田のあいだ。せっかく都会に出てきたのに、寄り道禁止バイト禁止で先生が毎日見回りに来るという厳しさ。どこにもよらずまっすぐ家に帰る、という「地味~な高校生活」だったそう。
ならば大学はというと、女の子は短大でも出て就職して結婚して、という時代。担任の先生から「女子が4年制行ったら就職できへんで」と言われて付属の短大に進学したものの、通学に片道1時間半!授業とバイトに明け暮れる、これまた女子大生感のない生活だったのだとか。
そして就職は、まさに氷河期が始まったところ。就職課の先生に「これどう?」と勧められるままに推薦枠を受けまくり、受かったのが心斎橋のメーカーだった。
特にやりたいことがあるわけでなし、結婚するまで務めるのにちょうどいいい、ぐらいの気持ちで勤め始める。
…話を聞けば聞くほど、おとなしかったり、羽目を外さなかったり、言われたとおりにがんばる"いい子"の森本さんが出てくるのだが、今の森本さんから受ける印象は、もっとずっと自由だ。
「今の森本さんは人生を謳歌しているというか、すごく自由に感じるんですが、なにか変わったきっかけがあるんですか?」
「そうですね…多分夫と知り合ったのが大きいですね」
友達の結婚式で新郎新婦の友人同士として出会った夫は、子どものころからのびのび育った「なんでもやったらええやんっていう感じのひと」。子どものころの話を聞くと「よく生きてたな(驚)って思うエピソードばかり」、なのだそう。
「だからこそ『起業する』とか言い出しちゃったりするんですけどね」
と森本さんは笑う。
結婚した当初、何を買うにもどこに行くにも、森本さんはすべて夫に許可を取っていた。それまではずっと両親にお伺いを立てていたし、そこに疑問を持ったことはなかった。
「そしたら、『やりたいようにやったらいいのに』って言われたんです」
そう言われてはじめて、今まで自分がやることを自分で決めていなかったことに気づいたのだ。
なんでも確認してからやる、「やりなさい」と言われたことはきちんとやる、「だめ」と言われたことはやらない。そんな今まで当たり前だと思っていた固定概念を覆され、
「あぁ、自分で決めていいんだ」
っていう気持ちが初めて芽生えた瞬間だった。
とりあえず迷ったらやる
それからというもの、これ行きたい!これやりたい!と思うものがあったら、とりあえずスケジュールを確認する。そして行けるかどうか悩むのではなく、どうやったら行けるかを考えるようになった。
夫の2年間の広島勤務が決まったときのやりとりも、あまりに潔い。
「『どうする?』って聞かれたので、『行くけど?』って」
二つ返事でOKし、仕事を辞めてついていく決断をしたのだ。
生きてる中で今が一番若い。そんな言葉を聞いて、迷っている暇なんかないな、と思ったのだそう。次あるかわからないからやっておこう、そんな風にも考えられるようになった。
そしてもう一つは、誕生数秘学を知ったこと。
生年月日の西暦からの8桁を、ゾロ目か1桁になるまで足したのが数秘学の運命数。森本さんの運命数は33、これは"宇宙人"を示す数字なのだそう。それを知ってから、彼女は無理やり人に合わせることをやめた。
「『宇宙人だからいいか!』って思えるようになったんです」
ココナッツとの出会い
そして、ココウェルで働き始める。
ココウェルは、森本さんの学生時代からの友人が起業した、ココナッツに関する商品を取り扱う会社だ。フィリピン産のココナッツを原料とした商品のみを取り扱っている。
「ココナッツ?何それ?」というところから始まり、奥の深さに魅了された。興味を持ったものにとことんのめりこむ性格がうまい具合に発動し、今では押しも押されぬココナティストだ。
でも最初は大変だった。なにしろ『発送の3か月間短期バイト』だったはずが、『お客様問い合わせ対応バイト』に突然変わってしまったのだ。
とあるココナッツオイルの本がベストセラーになったのをきっかけに、ココナッツオイルが爆発的に売れていた。それと同時に問い合わせの電話も次から次へとかかってくるようになった。
そんななか、電話対応担当の社員が一人退職することになって回らなくなり、伝票処理やパソコン対応も含めてできそうなのは森本さんただひとり。
「今日から電話に出てください!」
とココナッツオイルの本を手渡されたら、長女気質だからやるしかない。聞かれるままに本を繰り、片っ端から付箋を付けて電話対応に明け暮れた。でもそれがココナッツに本格的に興味を持つきっかけにもなったのだから、人生どうなるかわからない。
そして、冒頭の「夫が個人事業主になるって言いだしたんです」につながっていくのだ。
ココナッツのプロフェッショナルとして
スバキリ一味に加入したのは、一味の古株ちびぃさんとのつながりだ。最初はライターで誘われたのだが、平日昼間は時間が取れない。
「だったらリターン担当は?人足りないし」
そんな軽いノリで始めた仕事だったが、好きなことを見つけて仕事にしているちびぃさんをはじめ、一味やフリーランスの人たちからたくさんの刺激をもらっているという。
「『いい商品ができたから売れるわけじゃない、ちゃんとアピールしてひろめないと』っていうスバキリ一味団長の小西さんの言葉は、ココウェルの仕事にもつながっています」
今後やりたいことはありますか?の問いに、
「まずは健康第一ですかね、扱っている商材が商材なので」
さらっと答えた森本さん。そう、ココナティストはココナッツの良さを伝える仕事。体に取り入れるものを扱っているから、体の調子も肌の調子も崩すわけにはいかないのだ。ココナティストとしてのプロ意識を垣間見た。
ココウェルの商品を知っている人はまだまだ少ない。だからこそ「こんなにいいのに」でとどまることなく「どうやったら知ってもらえるか」にシフトする必要があると気づいたのは、スバキリ一味に入ってからだ。
「そのためになにすんねん、ってところはまだこれからなんですけどね」
好きなものがある人は強い。興味を持ったものにとことんのめりこむ彼女なら、長女気質の責任感も相まって、「そのためになにすんねん」の答えをきっと導き出すに違いない。
【ココウェル 日本初のココナッツ専門店】
取材・執筆:堀中里香
After talk
そして夫の仕事にもここへきて動きが!
夫はギターのストラップを企画制作するメーカーを立ち上げたのだが、なんとその商品がバンドリとのタイアップに採用されたのだ!
そして更に、マルタイラーメンとのコラボストラップの発売が決定!
今後のコラボも期待しています!!
【ギターストラップ&アクセサリー SpiceNote】
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?