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新たなパートナーシップのはじまり #02 突然のメッセージ
誕生日までに私は何かを終わらせないといけない気がしていた。区切りをつける必要がある。何かに急かされるように、その夏を過ごしていた。私は何を終えるのか。何をしなければならないのか。よくわからないけれど、大きな変化がすぐそこまでやって来ている。そんな感覚でいた。自分が今、持っているものを出し尽くす、それを表現する、ということなのか?思いつくままに、やりたいと思うことをやってみた。同時に、大好きだったアーティストも、バッグや小物製作も、生地集めも、なんかもういいな、気が済んだという感覚で整理し始めた。
私はすっかり忘れていた。彼に出逢ったことを。たった一度、セミナールームで会って以来、私たちはSNS上でのつながりしかなかった。出逢いからの約三年間、特別な交流はなかったのに、ある日を境に急展開した。それは私の誕生日だった。
前日の夜、私はひと区切りついた、そんな感覚でいた。夏の間に終わらせようと思っていたことをやり切ったという、妙な達成感で眠りについた。
誕生日当日になり、爽快な気持ちで日中を過ごした私は、夕方から出かけ、運河沿いのレストランで夫と食事をした。秋の風が心地いい夜だった。
ほろ酔い気分で帰宅し、何となくSNSを見た私は、彼からのメッセージが届いていることに気づいた。その日は誕生日のメッセージをいくつかいただいていたので、そのうちのひとつに過ぎないと思った。
わ、珍しい人から来てる。ものすごい久しぶりじゃない?私のこと覚えててくれたんや。わざわざメッセージくれるなんて。軽い気持ちでメッセージを開いてみた。
すると、お祝いの言葉とともに、一枚の写真が添えられていた。真っ白なバラの写真だった。青空の下、凛と咲く一輪の花。
わーーーステキ ♡
でも・・・。
どこか神聖で、結婚式を思わせるような写真。そんな写真が、ほとんど交流のなかった彼から届いたことに驚いた。驚きを隠せなかった。
なんで?ちょいと意味深やないの、コレ。
写真を見た瞬間、ステキと思ったと同時に、特別な何か、ただならぬ何かを感じ、ドキリとした。あれ?明らかに違和感だった。他の人からのメッセージとは一線を画す特別感。見てはいけないものを見てしまったような、気づいてはいけないことのような。そんな不思議な感覚。
けど、すぐにその思いを打ち消した。あぁ、また勘違いか?でもさ、なんでメッセージを?セミナーで一度会ったきりの私に。
当たり前のお祝いのフレーズを私は何度も読み返し、メッセージと白バラの意味を自問した。私には、彼が私にメッセージを送ってくれた理由が見つからなかった。
だってさ、普通じゃなくない?と言っても、それは私にとっての普通じゃなかっただけ、なのだけど。アプローチされたことなんて、ほとんどない。親しい男友達はさほどいない。いや、皆無に等しいか、笑。男性からあまり受けることのない扱い。私に、ステキな男性から誕生日メッセージが届いた。
それだけで、十分、普通じゃなかった。
え?彼は独身なんだっけ?私、結婚してるの、知ってるよね。
大谷くんと同じ191cm長身でスレンダー(だった)男前、イケオジ?とにかく、ジェントルマンなイメージの彼。ほとんど話したことないのだけど、その印象しかない。あぁ、それとたまに変な、ユニークな?投稿をしている人。弁護士という職業からは想像がつかない、というか、ちょっとズレた感じのおもしろい人?というのもあるか、笑。
とにかく、その彼が私に突然、誕生日メッセージを送ってくれたということが意味不明で、白バラを見れば見るほど、違和感やった。
でも私は、そのドキリとした違和感に気づかないフリをして、当たり障りのない返信をした。ただシンプルに、お礼のメッセージを。
彼は何者?突然のメッセージに驚いたと同時に胸騒ぎがした。これから何が起こるのか。起ころうとしているのか。素直に嬉しかったものの、頭、思考がついてこなくて混乱していた。
私にとって、彼は特別な人なのか?
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