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【音霧雑記】半沢直樹は大和田を赦しているのか?

半沢直樹は休止……突如現れたウイルスにより業務停止を命じられた……この悔しさは10倍では済まない、100倍返しだ!!!!

100倍返しで思い出したけど、大和田常務と半沢直樹が共闘し、伊佐山のみならず政府相手に戦うという銀と金みたいな「2人でこの国の牙城を撃つ!」タッグマッチ。非常にそそる。何と言うか本当にこの2人のコンビプレイは見ていて爽快、反目しあっているけれども互いの手を知っているから持ちつ持たれつの絶妙な距離感。

※半沢直樹のネタバレが当然含まれていますので、まだ見ていない方は見るか、見ないか、ここで、決めてほしい。さぁ、さ、さぁ、さ、さささぁああさぁさぁさぁ!!!(ドン!!)どっちだぁ!!!

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でも半沢直樹の父を間接的に殺した怨敵だったよね??

しかし疑問に思う人もいるであろうこの2人の因縁。ドラマ版では半沢直樹の父は資金繰りに窮して自殺、その原因を作ったのが若かりし頃の大和田常務だ。前期5話で親の仇の素性が知れた時の、電撃を浴びたようなショックと言ったらね……!! そこから2人のバトルが始まり、10話(最終回)で役員会議中にすべての悪事を明かして土下座までさせた。

その、土下座をさせる時の半沢直樹は鬼気迫るものだったし、いつものような余裕はまるでない。土下座をさせられた者たちのと言うけれども、傍から見れば親の仇討ちに他ならない。「土下座してください…」と勝者なのに懇願する様は見ていて悲痛でしたし、「やれぇええええええ!!!」と叫びをあげた時の激烈な衝動は全てを怯ませる迫力があります。

父と嫁がくれたもの

復讐の熱に浮かされて正体を失う半沢。握り拳に力が入り、入り、ふと気付いた、手の中にある痛み。父のネジと妻のネジを握り過ぎて、大きめだった父のネジに血が付いていた。

本人は復讐よりもバンカーとして皆を支えたいと前期に嫁に対して語っていたが、大和田に土下座を迫るシーンには心の余裕がまるでなかった。大切な人を間接的に奪い、同期の近藤をも奪い、そんな外道に復讐しなければ収まりがつかない。だから頭取の静止すらも耳に届かない。

それでもネジと言う半沢の根っこにある部分が最後の最後に、復讐を遂げた半沢を本来在りたいバンカーへと引きとどめた。半沢直樹はここでようやく自分の中にあった煮えたぎる怒りを抑えて、鎮めて、一言も喋らずに去る。仇討ちはここで終わった。大切な人がくれたネジが半沢を復讐という呪縛から救った。

憑き物が落ちたような2期の1話

セントラル証券に出向後の半沢は同期と酒を組み語らう。その中で、大和田の話題も上がる。降格人事、とはいえ役員級のポジションにある。それを聞いても半沢は全く(頭に留める程度で)興味を示さない。

復讐をしなければならない理由は実の所もうない。大和田に100倍返し。近藤は銀行の広報部に栄転。恐らく大和田は渡真利の存在も把握していたであろうが、報復人事もなし。自分一人だけの出向で済んで、実の所ホッとしているのかもしれない。

それに銀行ではなくても、人のためになる仕事に変わりないので熱心に勤め上げている辺り流石。

恩返しデェッス!! な2話

『ジョーカー』と言う映画で、その存在感を遺憾なく発揮していた舞台装置階段。詳細は映画を見てほしいが、上るシーンと、下るシーンで心境が違うのがポイントです。

さてドラマ半沢直樹では2話に、伊佐山からゴミ案件を賜って半沢がセントラル証券帰還のために階段を降りようとしたとき、階下には大和田の姿が。

自分が追い落とした大和田は下。しかし一歩ずつ上っていく。執念深く、頭取の椅子を狙うためにどんなことをしてでも這い上がる暗喩でしょう。どんなことでもは、自分の周りの者を切り捨ててでもという意味合いだろう。

今立っている場所は上だが、間もなく伊佐山の報復人事で奈落に落ちるであろう半沢。階段を下りていき、大和田から施された蜘蛛の糸(どんなことをしてでも生き残る道)を蹴る。

このシーンで半沢は「大和田さん」と呼ぶ。前期では「大和田常務」と、役職名を交えた呼び方。一応仇討ちが完了したからか、「お前が?」とか「貴方が?」とかでもなく、名字呼びな所に、ある程度棘が失せた気配を見せる。

うるせぇえええええ!!! な4話

部下の森山に大和田を「因縁のある相手」「自分だけの仕事をする奴」と酷評する半沢。復讐はしないけど、単純に嫌な奴だとは思っているのが明白になるシーンです。その後半沢の説得に応じず車を発進させる大和田に立ちふさがって、説得&発破かけをするシーン。

「あの大和田暁が、部下に利用された挙句、すごすごと退散ですか!!」

前期に思い切り苦戦の末、近藤が決死の思いで掴んだ情報すら握り潰され、妻の情報なしには敗色濃厚だった難敵であり宿敵。降格されて伊佐山に裏切られ、散々周囲から見縊られていた大和田だが、半沢は大和田の実力を否定しない。「あの」の2文字に前期の想いが詰まっている。

一見馬鹿にしているようにも見えるが、叱咤激励も込められていると私は思う。まあそういう「やってやる」という気にさせないと作戦が台無しになるから仕方ない。これは2話で大和田が言った「どんなことをしても生き残る」の、半沢なりの答えなのだろう。

自分のためではなくセントラル証券とスパイラルとフォックスの未来のために、どうしても勝たなければいけない、生き残らなけらばならない勝負。顧客のためならどんなことをしてでも勝つ。どんなことの中には、かつての仇敵と手を組むことすらいとわない、伊佐山にゼネラル電設の情報を渡そうとするなど、敵をも味方に仕立てて苦境を乗り切る事。

この大和田とのやり取り前に半沢は森山に、こうも言っている。

「これからある人に会う。おそらく最後の勝負だ」

半沢にとっては伊佐山・三笠・諸田のトリオを役員会議で倒すよりも、大和田との勝負こそが天王山。役員会議で発言力もある大和田をバックに付ければ、相応に頼りがいのある者だと認めているのだ。

腹筋が沈…没ッ!!! してしまう6話

ネタ的な意味で銀行沈没が話題になりがちですが、
「バンカーとして顧客に示しが付かないから債権放棄をしてはいけない」
「政府に逆らうことはしない、債権放棄はするべき」

と、半沢と大和田が真っ向意見のぶつけ合いをするシーンが印象的。前期で大和田が半沢に「君の言っていることと私の言っていることは、マクロとミクロの視点が違うだけで同じ」という場面がありました。

顧客第一主義を徹頭徹尾する半沢(ミクロ・ネジ視点)に対し、
銀行という組織の在り方も見据えた判断をする大和田(マクロ視点)。

500億円の債権放棄を大和田は喜んで賛成はしない。寧ろ半沢同様拒否すべきとも考えているだろう。それでもその500億を守って政府に睨まれたら銀行そのものの立場が危うくなる。こういう時に割り切れるのが大和田の強みであり、割り切らずに突き進んで結果を出すのが半沢なのだ。木を見て森へと育てるのが半沢で、森を見てどう伐採すれば利益になるか考えるのが大和田。

顧客を守ることは銀行を強くする。銀行を守ることは大勢の顧客を守ることにもなる。同じ考えだが、至る道筋も結果も違うのは面白い。


「7文字言ったぞさぁさぁさぁ!!」な7話

500億をどうするかで半沢が役員相手に力説する。大和田は半沢の意図を読んで途中から芝居に回り、紀本常務を追い詰めることも退くことも可能なポジショニングをする。結果的に行内の裏切り者を炙り出し、条件付きで債権放棄拒否を頭取に約束させることに成功した2人のコンビネーションは完璧だった。

「私の芝居もまだまだだね」「ええ」「!?」←仲悪いけど言いたい事言い合える相手だと伺える場面。6話の「銀行沈没」でもそうでしたが、銀翼のイカロス編は、大和田が如何にして行内を生き残り上り詰めたのか分かるシーンも多い。半沢は真に優秀な人材だが、政治駆け引きや派閥争いにかけては大和田が上手、ズブの素人だからしかたない。大和田のように人を切り捨てる非情・狡猾さも持ち合わせていない。持っていたら前期、近藤を切り捨てて大和田に自力で勝つことも出来た。

最早ここまで来ると、大和田に対する復讐なんて感情、微塵も残っていないのは明らかだ。お願いしますの7文字を屈辱的(9/6に放送された半沢生放送で台本に「屈辱的に」と注釈があったのを堺さんが半沢なりに解釈した結果だと判明)とはいえ言い切ったシーンは見ていて滑稽でしたねえ。

兎も角「どんなことをしても」の中には、大和田にお願いしますと素直に言うことも含まれているようです。そしてこんな横柄不満爆発な頼み方に、しっかり応えるのが大和田なんですわ。

その後は歌舞伎ばりにタッグで雑魚を問い詰めるシーン。ここ、恐らくですけど前期で近藤がタミヤ社長の証言を握っていた時に、大和田常務と岸川部長の2人から「半沢を裏切れば銀行広報部への栄転」という特上の餌を振舞って窮地を脱したシーンとほぼ同じなんですよね。

ただし追い詰めるのが半沢と大和田になると歌舞伎具合が半端ない。結構重要なシーンなのに笑っちゃいましたもん。お前が裏切らせるのか半沢……。

ちょっと脇道それるけども、近藤の裏切りを半沢は赦していました。理由としては、タイムリミットまでにタミヤ社長に迂回融資の証言とれたのは近藤が孤軍奮闘した結果だからです。半沢はそれ以外の事で全く時間を割けませんでした。その結果得た情報を半沢のために使うか、妻子を持つ自身の夢のために使うかは、近藤次第です。だからこれは厳密に言うと、裏切りではありません。良心の呵責は痛むでしょうが、半沢に不利益をもたらすことはしていない。

まとめ

半沢直樹の復讐は前期ですでに決着。過去の罪は赦していますが、1個人として見るとどうしても思想の食い違いや嫌悪が目立ちます。だから対立しているように見えるのですが、深い部分で2人は似ているため共闘時には抜群のコンビプレイを見せてくれます。

しかし大和田を100%信頼していいかと問われたら答えはNO。利害一致の時は誠心誠意協力してくれますが、そうでなければ有利に転がりこめる方向にすぐさま向かいますし、そのために背後から刺すことも厭わないでしょう。事実7話で半沢がバンカーとしての心意気をあそこまで堂々と言いきれなかったら大和田は紀本常務側についていた。弱味を見せて形勢が怪しくなると早々に大和田は切る準備をするから油断ならねえ。

残る3話で大和田がどのように立ち振る舞うのか不明ですが、何かしら一波乱起こしてもおかしくはない。ところで次回予告の手を差し出し合って歩み合うシーンは何だよと笑い転げています。早く8話が見たい!!!

サポート1人を1億回繰り返せば音霧カナタは仕事を辞めて日本温泉巡りの旅に行こうかなとか考えてるそうです。そういう奴なので1億人に到達するまではサポート1人増える度に死に物狂いで頑張ります。