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【睡眠薬・抗不安薬のことを1日ひとつ探る】 2021.2.5 テーマ:薬の作用時間と蓄積

睡眠薬や抗不安薬の服薬開始は慎重にしましょう。ただしすでに2〜4週間以上服薬されている方は、急にやめたりするのは激しい離脱症状が起きる危険性もあるので危険だと私は思いますので、思いつきでの断薬は絶対に注意し、減らすなら冷静に計画を立ててください。

コロナ禍で経済的な不安や、孤独を抱えて不安になっている方が増えているかとおもいます。そして不眠になったり不安感に襲われたりした時、「精神科や心療内科に行こうかな」という方もいるかもしれません。また身体に痛みを感じて整形外科を受診する方もいるでしょう。

体内に少しずつ溜まっていくベンゾジアゼピン

これら医療機関を受診した時、大抵処方される薬は睡眠薬・抗不安薬です。いつも書いていますが、この睡眠薬・抗不安薬の大半がベンゾジアゼピン系の薬です。今回は服薬した薬が体の中(脳の中)に少しずつ溜まっていくらしいという話です。

私たちが服薬する薬は体内に入って何らかの作用を身体に与えて、時間が経つとそれは体の外に尿として排出されます。これを代謝といいます。
そして服薬した薬の濃度が一番高い状態になる時間をピーク、血液中で半分になるまでの時間を半減期といいます。
ベンゾジアゼピンは肝臓で代謝されて尿で排出されますが、その速度に大きな差があります。各薬の半減期をみてみるとその差がよくわかります。

ベンゾジアゼピン作用時間の一例

【短期型】
グランダキシン ピーク 1時間  半減期 0.5時間
デパス     ピーク 3時間  半減期 6時時間
【中期型】
ワイパックス  ピーク 2時間  半減期 12時間
ソラナックス  ピーク 2時間  半減期 14時間
【長期型】
セルシン        ピーク1時間   半減期 16時間
リボトリール   ピーク 2 時間   半減期 27時間
【超長期型】
メイラックス  ピーク0.8時間   半減期 122時間
レスタス    ピーク6時間     半減期     190時間

https://cocoromi-cl.jp/knowledge/psychiatry-medicine/antianxiety/duration-benzodiazepine/

実感できる作用時間は数時間。1〜2週間で耐性がつき効果が下がる

ベンゾジアゼピン系薬にはこのほかにも様々な種類がありますが、ピークの時間を見てもわかるように実感できる効果はどの薬も数時間程度で消えていくようです。

しかし効果が消えても薬は体内に残り、少しずつ影響を及ぼし続けます。そして毎日連用し続けることにより溜まっていき、次第に体内 (主に脂肪組織)に高濃度で蓄積されていくようなのです。

例えばジアゼパムの半減期は20〜100時間(約1日から4日間)ですから、毎日飲めば前日の薬が体の中にあるうちにまた次の薬を入れることになり、薬が切れ目なく体内に残っていることを意味します。

しかし減薬を取材していて、ベンゾジアゼピンの種類、半減期の違いに関係なく、離脱症状や副作用などの影響がほとんどない方と、非常に敏感に薬の量に反応する方がいて、その差は驚くほどです。その理由は薬物の代謝にかなり個人差があるためではないかと言われています。(つづく)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー●お知らせ●
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■『お薬手帳読みとき勉強会』は不定期開催ですお問い合わせは survivor@lamappa.jp

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー参考資料 アシュトンマニュアル日本語版ページ
第1章 ベンゾジアゼピン系薬剤:体内でどう作用するか (P27〜30)
https://www.benzo.org.uk/amisc/japan.pdf





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