【ビジネス書を読む時間がない若手金融会社員・就活生向け!】ファイナンスの基本3
前回から、ファイナンスの基本について記載しています
今回は、バリュエーションについて記載したいと思います
自社や他社の企業価値を算定する際に必要な知識となるため、ファイナンス業務が専門外の方にとっても知っていて損はないと思います
実務上は、投資ファンドや投資銀行のM&Aチーム、ファイナンシャルアドバイザー(FAS)が専門的な知見を保有しています
私自身も、投資ファンド在籍時は案件ごとに企業価値算定を実施していました
1. バリュエーション
事業の経済的価値を評価することを、バリュエーションといいます
企業買収を行う際、買収候補企業をバリュエーションし価値を算定することで、適切な買収価格を捉えることが可能となります
代表的なバリュエーションの手法はNPV法です
バリュエーション手法:NPV法(DCF法)
これまで、事業の経済的価値を評価するために、キャッシュフロー、現在価値、リスクの3つの視点が重要であることを述べてきました
この3つの視点を盛り込んだ経済性指標がNPV(正味現在価値)です
NPVが正であれば経済的価値があるということになり、投資プロジェクトに対してGoサインを出すことができます
NPV=FCFn/(1+r)n
※FCF=無借金だと仮定した場合のキャッシュフロー(営業利益×(1-t)+減価償却費-投資-運転資本(変動分))
※r=WACC
※n=年数(FCFが算出可能な年数)NPVとは、毎年のFCFをN年に至るまでrで割り引いたものの合計であるため、FCF、N、rの変数がポイントとなります
FCF、rは上記注釈の通りですが、N(年数)の観点で補足すると、毎年のキャッシュフローを予測できる期間(例えば10年)以降の価値は、残存価値として算出することが一般的です
残存価値の計算手法:①永続価値
永続価値の計算手法として、永続価値の定義式が用いられることが多いです(最終的には事業が安定し、キャッシュフローが一定の水準に落ち着くという考え方)
例えば、10年目のFCFが1億円で、11年目からもこの金額が永続すると仮定し、割引率が5%であれば、10年目の時点における残存価値は、1億/0.05=20億となります
残存価値の計算手法:②EBITDAマルチプル
この他、EBITDAマルチプルという評価方法が取られる場合もあります
この評価方法は、CFが一定の水準に落ち着くという考え方ではなく、EBITDAの何倍でM&Aにおける売却価格(株価)が成立しているか、というアプローチです
例えば、食品業界が世界的にEBITDAの5倍で株価が成立しているということであれば、10年目のEBITDA×5倍を残存価値とします
バリュエーションは見込みの数字でしかありませんが、「数字の考え方とその根拠となる事業戦略の説明(根拠の合理性)」が求められます
いかがでしたでしょうか
本日はバリュエーションについて記載しました
次回以降もお楽しみに!
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