写真は真実を写す?

 漢語的なノリで言っているか、誰が言ったか分からないが「写真は真実を写す」なんていう言葉を聞いたことがある。ただデジタルカメラが普及し、さらにはガラパゴス携帯電話(いわゆるガラケー)で世界で初めてカメラ付き携帯電話を日本が開発した。そして、スマートフォンが一般化した現在では簡単にアプリを使って加工できるようになり、SNSの写真で無加工なのは逆に少ないのではないかと疑ってしまう時代になった。

 写真がフィルムからデジタル化されて加工というか編集技術もデジタル技術の進化とともに上がっていった。これは元写真部(約40年前なので完全フィルム世代)の父親から聞いた話だか、フィルムでもちょっとした合成的なものは出来るらしいが、その時代の写真部の人がみれはすぐに分かってしまうと言う。フィルムカメラの方が光の加減とか現像の技術とかがアナログな分きっと奥深いのだろう。

 さまざまな化学反応を利用し記録された画像を現像するという流れがあるフィルムと違い、デジタル処理された画像データを印刷するというデジタルカメラは手軽に誰でも簡単に写真を印刷することができてとても便利だ。そしてデジタル化された画像データは化学反応を使ったフィルムカメラの写真とは違い加工や編集も手軽にできる。
 さらにいってしまえば、いくらデジタルでもスマートフォンが普及していない頃はパソコンを使って「 Photoshop」など専用ソフトを使い、けっこう技術が必要であった印象がある。これがスマートフォンが普及してからはアプリで加工をしたり、なんならアプリで写真を撮るときに先に加工してからシャッターを押すような感じで加工ありきの写真を撮ることが当たり前になり、本当に気軽にそして簡単に写真の加工や編集が出来るようになった気がする。

 このデジタル技術が当たり前になり編集や加工そして合成が出来るようになると、やはりフェイク写真が生まれるのは当然の結果だろう。そしてAI技術も向上していくことで、それこそ誰でも簡単にそして違和感がない写真を作れてしまうことになる。なんなら最近では文章からそのイメージの写真を作ることだってできる。ここまできてしまうと、それは写真と呼べるものなのかどうかも分からない。個人的にはただの画像データの1つとしてしか考えられなくなってしまう。

 写真を撮るとき、アプリで簡単に加工や編集が違和感がなくできるようになってから逆にあまり加工がない証明写真をプリクラみたいに使い方をする若い人がでたり、フィルムカメラを趣味として使い始めたりする人が増えた。そして、無加工の写真を共有するSNSも出来たりと加工するのが当たり前になった時代に加工をしなくなる不思議な現象が起きているが、これはもしかしたら日本人が本能的にAI技術を含めて加工・編集・合成された写真というものに何となく違和感を覚えてそれらの写真をどこか否定をしているのかもしれない。

 こう考えると写真というものは光や化学反応を使って嘘をつきにくいフィルムカメラで撮ったものを「写真」というのがしっくりくると思ってしまう。

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