異動で新しい環境

 今年の仕事始め、年始早々部長から呼び出された。年末年始休み明けだからお客さんからのクレームは考えにくい。ちょっと深刻な顔して告げられたのが異動だった。

 前の部署は一応営業部門。営業先の担当は5か所しかなかったものの雑用係的なことも担っていた。一応役職的には主任クラスではあるが、毎朝乾燥する時期であれば加湿器の水を入れたり、部内の経理業務の一部、ちょっとした会議の資料作成、新しい事やめんどくさい事があれば呼ばれ、システムトラブルの対応もする。なくなりそうな事務用品に気付けば手配をしておく。もちろん電話の取次ぎもするんだが、同僚の担当先からの電話に何回か出ているうちに名前を覚えてもらい、その担当先から同僚不在の時
「どうしても急ぎで必要なんだけど、何とかならない?」
みたいなことを言われたので、それとなく対応してあげたりする。そんなことをしているうちに部内全体のフォロー的な役回りになっていた。
 
 このとき課長は外回りの営業マンとして育てたそうな感じだったが個人的には事務所内の対応力不足を感じていた。だから勝手な判断で上司の方針とは違ったものの事務所内の対応強化を目指していた。だからこそ雑用係的なこと率先してやっていたというのもある。そしてこの行動をしていくうちに部内全体がスムーズに回り始めた気がして、確かに仕事が多くなってしまったものの、そんなところにやりがいを感じていたのかもしれないと異動になって初めて気付いた。

 異動になってもうひとつ意外だったことがある。変な表現になってしまうが会社にも取引先にも大きな出来事になってくれたことである。確かに部内は雑用係がいなくなるっていうのはあるが、他部署が所属していた部門の心配をしていたり電話をよくもらっていた取引先も含めて異動の挨拶を回ったとき、しかも担当外の得意先から
「困るっ!」
って、言ってもらったことである。しかも意外とそう思ってくれるところが1つではなかったこと。これには本当に驚いた。真っ先に頭の中で
「担当じゃねよ!」
と思ったが、もちろん悪い気はしなかった。これは少し笑ってしまったが上司のところに電話で異動についての問い合わせがあったらしい。自己肯定感が低いので1人動いたぐらいで何にも影響しないと思っていたが、ここまで大事になるとは正直思っていなかった。

 異動になるまで思っていた以上に必要とされている人になれていたことに気付かず今回の異動はそれに気付くことができたので、それはそれで良かったかもしれない。これからは完全に畑違いのところに行くことになり仕事内容は大きく変わってしまう。だからこそ心機一転、新入社員の気持ちで1から仕事を覚える感じで新しい環境を楽しんでいこうと思う。

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