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バレンタインデーのおもひで

早いもので12ヶ月のうち1ヶ月が終わろうとしている。
正直なところ1月の記憶がない。インフルエンザになっていたので薬を飲んで寝て起きたら2月になってるみたいな感覚だ。

2月といえばバレンタインデー。
バレンタインデーはいつから日本に入ってきたイベントなのだろう。調べてみると神戸のチョコレートの会社モロゾフが広告にバレンタインデーと記載したのが最初では?みたいなことが書いてある。
てやんでい、誠にてやんでい!である。

そんな『てやんでいでー』に学生の頃に苦しめられた記憶がある。

僕と同じクラスだった男の子(A君)がいて、A君はそれはそれは大変な人気でバレンタインデー前になると周囲がざわついていたものだ。
結局A君はチョコレートを30個くらいもらっていた。うちの学校が1学年160人で半分が男と考えるとすごい割合でもらっているのがわかる。
そんな僕はというと仲のいい女の子が配っていたチョコと、「あんたもらってないの?」と言われ渡されたブッラクサンダーの2個だったと思う。
学校の帰りに食べたチョコはなんも味がしなかったと記憶してる。

2月14日が過ぎてチョコレートに一喜一憂した熱も冷め、クラスはホワイトデーのお返しの話で持ちきりだった。
僕はA君はどうやって返すのだろうか、そもそももらった人覚えてるのだとうか、もし覚えてないなら全員の女子にとりあえず返すほうが安全なのでは?とか勝手に妄想をしていた。
当時中学1年生だったのでお菓子は近所のスーパーでホワイトデーセールみたなので母さんと一緒に買いに行くが定石だった。そんな僕も母親と2つ分のチョコを買いにいった。

ホワイトデー当日A君に「お返しどうしたの?」と聞くと、「母親に全部任した」と言っていた。
さすがモテる男は違うなとお返しなんか自分で買いに行かないわけである。この余裕さがモテる一つの要因なのかと思ったが後に違うと気づいた。
そして、買ってきたものを一緒に開けてみると変なぬいぐるみのキーホルダーが30個入っていた。
本当に爆笑した。
A君は袋に一つずつ入っていたので開けてまでは確認していなかったようだ。
これは学年の女子たちが同じぬいぐるみのキーホルダーをカバンにぶら下げるというストーリーが生まれるでは!と心の中で感動した。
親衛隊を自分から作りに行くようなものだと、さすがモテる男は…。

ちょうど思春期ということもあってかA君はすごく恥ずかしそうにしており、これはお返しとして返せないと言い出した。
僕は親衛隊を見たいので「いいやん、可愛いし」と言ったが「これはダメだ、こんなの恥ずかしい」とのことでついには今日はもう返さないと言い出した。
どうするの?と聞くと自分のお小遣いでチョコレートを人数分買うというので頑張れとだけ伝えた。
放課後何やらA君が頼み事があるとのことで聞いてみると、バス通学であるA君は買う時間がなく、このまま買えない場合チョコレートをたくさん食べただけのやつというレッテルを貼られてしまうとのこと。

「もしよかったらお前チャリ通やろ?お金渡すけん、買ってきてくれん?」

そう言われて断れなかった僕は帰り道のコンビニで大量のチョコレートを買った。
学生時代に後にも先にもこれ以上の屈辱はないと記憶している。

次の日、A君にチョコレートを渡すと、あのぬいぐるみを渡された。

僕は通学カバンにぶら下げた。

親衛隊になったのである。

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