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世界への誠実さを

大江健三郎さんが亡くなった。
仕事の合間にニュースを見て、一瞬「あ、知らなければよかったな」とか頓珍漢なことを思ってしまった。

もうどうにもならんという時、よく大江作品を手に取って読んだ。随筆などはパッと開いたところを読んだり、何かのヒントを探そうと、同じ作品を繰り返し読んだりもした。
自分との対話から、世界との向き合い方まで、私にとってものすごく大きな影響を与えてくれた作家だった。
あらゆる対象と真摯に向き合うこと、丁寧に伝えると言うことの尊さを、私は大江作品から学んだ。

ご老衰とのこと、せめて、病気や怪我や苦しい最期でなかったのならいいな、と思う。
その一方、軍備は拡大され、原発問題も安心に向かってはおらず、こういった状況の中で亡くなられたことも悲しい。どんな思いだっただろうと考えてしまう。

なんだか今年はしんどい訃報が続く。
誰かの背を追うのではなくて、追われても恥ずかしくない背を自分も作っていかないといけないんだろう。
当たり前か。とっくにそういう年齢だよね。
誰かが作った世界の中に私は生きてきたし、私が作るもの(作品に限らず、話す言葉とか、毎日のやり取りも含めて)も、誰かの世界の一部になっているのだ。

大江健三郎さん、あなたの作品は私に本当に本当に大きな発見や視点を与えてくれました。ありがとうございました。
ご冥福をお祈りします。

ってまだ書きたくないな。
こういう喪失感ややるせなさに、いつも小さくも強い光を与えてくれたのがまさに大江作品だったのだ。
もう大江先生の新しい言葉が読めないのだと思うと、やっぱり全然悲しい。

私が一番読んだ作品を挙げます。

人生の親戚

キルプの軍団 


今日の絵

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