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広島第一劇場の本を作るわけ

 1年前の11月25日㈰、文学フリマ東京という文学中心の同人誌即売会に「First Strip Guide はじめて・ひとり・女性のためのストリップ観劇ガイド」という本を初頒布しました。踊り子の高崎美佳さんが女性向けのストリップガイド本を作りたいと話しており、その考えに賛同して制作を受け持ったのがはじまりでした。女性も分け隔たりなく来られる場所なのに行きにくくしている。それはおかしなことだと思い、なるべく女性にとっての不安を多く取り除けるような内容を心がけました。システムや注意事項などに加え、踊り子さん、劇場社長、衣装さん…関係者の方々から「女性に観てもらいたい」という言葉を直接聞いて来ました。中の人間がウェルカムと言っているのだから、入ることを躊躇する必要はない。そこは特に意識して制作をしました。女性のお客さんにいかにノンストレスで通ってもらうかは多くの劇場さんも取り組んでいることでした。そういう意味で「FirstStripGuide」は作る意味合いが分りやすかったです。

 やっとここからが本題。ではどうして広島第一劇場の本を作ろうと思ったのか。「First Strip Guide」が劇場をオープンにすることで不安を解消させようと考えたのに対して、今回の本は広島第一劇場の日常をそのままオープンにすることで安心感と感動を届けられると思ったからです。広島第一劇場というなんとものんびりとした平和な空間と、この劇場だから見せられる圧巻のステージを知ってもらいたかったからです。2016年に一度閉館し、その後再開をしているが劇場のホームページには限定的な復帰を思わせる文章が今も掲載されたままでいます。決して状況が良いとは言えないこの場所の日常を伝えることで、読んでくれた方の中でひとつの日常として受け入れられるかもしれない。より多くの人に届くことが全て良しとは言わないですが、届くべき人の元に届くと状況が変わるかもしれない。僕がストリップを知る何十年も前からすごい芸のある世界なんですから、知ってさえもらえればと思っています。

 最後に。今回多くのお客さんにも協力して頂きました。本当にお世話になりました。その中で「閉館するかもしれないし、本が思い出になるかもね」と言う方もいたのですが、それは違います。それだと作る意味がないんです。そうではなく、これからもつづく日常を末永く当たり前の風景としてつづいてもらうために制作しています。このことは誤解のないように知って頂けるとありがたいかな。そして、現在制作中ですが、おセンチや難しい内容じゃないですからね。劇場に訪れたことがある方には、いつもの風景の安心感や居心地の良さを再認識していただけるように。劇場に訪れたことがない方には、ストリップ劇場の中で居心地が良く美しい風景が広がっていることを伝えることが出来ればと考えています。単純に広島第一劇場に行きたくなるような本になれば最高だと思います。

 結果出来上った作品だけが全てです。ぜひ楽しみにしていてください。ひとこと挨拶だけは先にしておきたいと思い書かせて頂きました。最後まで読んでくださりありがとうございます。

 初頒布は2019年11月24日㈰第29回文学フリマ東京になります。もうしばらくお待ちください。

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