見出し画像

東京都心でルーフバルコニーのある部屋に暮らすことについて

そろそろこれについて書いてもいい頃合いだと思い立ち、急に涼しくなった初秋の朝にベッドの中でエディタに向かっています。タイミングがきたというか、心地よい季節がそうさせたというか。

今年の冬の終わりにルーフバルコニーのある部屋に引っ越しました。

物が少ない僕は、フライトケースとバックパックひとつで引越しです。一応ベッドもあったので業者さんには依頼しましたが。

ルーフバルコニーにはひとつの小屋が置かれていました。これは引っ越すまではわからなかった。入ってみたらなんじゃこりゃ状態で、あまりの滑稽さに動画を回し始めました。イナバ物置き。その知名度は日本では高いものの、こんなに完璧なイナバ物置きを見るのは久しぶりでした。しかもそれが自分が賃貸契約したバルコニーに悠然と佇んでいるのだから。

小屋は日によって様々な表情を見せました。

動画のネタとして、実際に小屋で寝泊まりしてみたりしました。

季節はまだ寒い頃で、屋外でのキャンプと変わりない体感がありました。

春になって気温が上がってくると、小屋の中にいることがだんだんと難しくなりました。都心でなくてもルーフバルコニーというものは、下階の住人にとってはそれがルーフなのであり屋根に過ぎないため、太陽の熱を反射させる役割を持っています。だからルーフ面に属する僕のような住人はその熱をもろに受けることになる。

暑い日々が続きました。

暑すぎてヨガで気を紛らわしたりしましたが、それでも暑いのに変わりはありませんでした。

ちなみに小屋の中はこんな感じです。

備え付けの棚まであったので、登山/キャンプ道具置き場としました。オーナーももしかするとこのような使い方をしていたのかもしれません。とてもフィットしました。

まだ暑さに耐えられる時期は、小屋は物置きになり、時にはオフィスになり、動画の撮影場所になり、寝床になり、調理の場になりました。

6月も半ばに入った頃でしょうか。本格的な夏の暑さが到来し、蝉の鳴き声がピークに達する頃には、小屋の温度計は40℃を示すようになりました。

そこでようやく結論が出ました。

「小屋では暮らせない」

それで、同じ面に位置する本来の居住スペースをメインで使い始めたのです。

半年くらいこの部屋で暮らしてきて、ルーフバルコニーのある部屋の特徴を記しておきます。実際に暮らしての気づきです。

1、暑い

先に書いたように、基本はルーフ。屋上的な構造なので暑いです。

2、風強い

遮るものが周りにないので、風のある日は風がダイレクトにあたります。洗濯物は全て飛ばされるくらいの勢いです。広いバルコニーだから洗濯物干し放題だ!やったー!と期待していると痛い目に遭います。晴れて心地よい日に、最高な外を眺めながら、部屋干し。ということがよくあります。

3、焼肉難しい

友人にルーフバルコニーに住んでることを知られると、決まって「バーベキューしようぜ」となります。これには実際僕も期待していました。実際に動画でも撮影して検証もしました。

まず法律的にアウトな部分があります。都内の建築物の屋上で火気の使用は禁止になっていることが多いです。完全に屋上ではないのがグレーなところですが、それでも条例や建物のルール上NGな場合が多いのです。

あとは先に述べた暑いことと、風の強さも問題です。おそらく燃焼物が風で飛んで他に移るリスクもあります。

そして何より、音と匂いです。都内の建築物は建物と建物の距離が近いので、近隣に焼肉の良い香りと肉の焼けるヘビーメタルなサウンドを轟かせることになります。

それでアメリカのホームドラマみたいに、ヘイネイバー!やってるね!うちの肉も持っていくよ。いいワインもあるんだベイベー。となれば良いですが、なりません。

ここ日本です。うわー肉焼いてるうるさいし匂いきついなー、クレーム入れとこう。となります。

思ったより、肉の匂いと焼ける音はルーフバルコニーでは響いて目立つ、という気づきです。

4、開放感は最高

窓からは空抜けの景色となるので、開放感はあります。

毎日良い空を楽しませてもらっています。ひとつとして同じ雲の色かたちの時はありません。そういえばこんなにも空を見る機会はこれまで無かったな、というくらい空を見ています。

デメリットともあります。あまりの開放感ゆえに、朝の風呂上がりに部屋の中で全裸でコーヒーなど飲んでいると、たまーに屋上補修か清掃か何かで隣のマンションの屋上に上がっているおじさんとおはようございますしてしまうことです。

全裸での遭遇は直接はありませんが、これは例えばヨガの練習をしているときに、窓の外に人がいる、みたいなことはよくあります。

はい、だいたいそのような感じです。場所や物件によるところも大きいと思いますが、僕の場合はルーフバルコニー小屋つきに住んで、現在のところクリティカルな問題は生じていません。

この部屋を選んだのは、おそらく荒木経惟さんのこの本が無意識の片隅にあったからではないかと思っています。

愛のバルコニー

ルーフバルコニー生活の様子は動画でも発信しているのでご覧いただけると幸いです。

役に立つことは少ないかもしれませんが。


いつも応援してくださる皆様に田中常丸は支えられています.本当にありがとうございます.