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自宅待機でスベラーズ

今回のテーマ:冬の思い出

by 河野 洋

冬と聞いて思い浮かべるのは韓流ブームの走りとなった「冬のソナタ」だ。2002年に放送されたペ・ヨンジュンとチェ・ジウの悲運のラブ・ストーリー。もう20年も前のことだ。最初は敬遠していたのに見始めたら止まらなくなった。そして「天国の階段」を見たが、その後はドラマから韓国映画にのめり込んだ。中でも「OLD BOY」(2003年)は今でも印象に残っている作品。

韓国映画といえば、2020年アカデミー賞で「パラサイト」が国際長編映画部門など4部門で、翌年「ミナリ」でも助演女優賞を受賞するなど快進撃を続けているが、その勢いは、日本における韓流ブームが引き金になったと思うし、音楽でBTSやBLACKPINKの世界規模の絶大な人気も、今日の韓国エンタメを支えている。また、2012年に大ブレークした『Gangnam Style / PSY』のバイラルマーケティングの成功も大きく貢献している。エンタメ界では、日本よりはるかに韓国の方に力がある。

それで、韓国のエンタメが何故ニューヨークの冬と関係しているかというと、それは単純に僕が冬ソナをニューヨークで見たこと、マンハッタンのエンパイアステートビルの直ぐ近くにはコリアンタウンという韓国人街があり、(コロナでご無沙汰しているが)コリアン・カフェだったり、韓国レストランだったりは、しょっちゅう利用させてもらっているからだ。実際、仕事でも韓国人との付き合いは少なくない。

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もう1つの思い出は豪雪だろう。ニュージャージーに住んでいた1996年だったか、道路脇に並列駐車しておいた車が雪ですっぽりと覆われて、どれが自分の車かわからなくなったことがあったが、あんなたくさんの雪を見たのは生まれて初めてだった。さらに2010年12月26日もウェブスターホールという老舗のコンサート会場でライブイベントを終えて、外に出たら一面は大雪で白い絨毯が敷かれていた。結果、ニュージャージーの自宅へバスで帰ることができなくなり、かろうじて動いていた地下鉄線でブルックリンの友達の家へ行き、修学旅行のようなノリでバンドマン達と一緒に夜を過ごした楽しい思い出もある。

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                                                                                                                                  何れにしても雪が降ると地面が滑りやすくなるから要注意だ。そもそも滑ることが嫌いで、スキー、スケート、スノーブレードといったウィンタースポーツには全く興味がない。滑り出しがいいのは歓迎だが、滑るのは嫌いだ。

そう言えば、子供の頃、テレビのコマーシャルで、階段で滑って落ちないよう転落防止の「スベラーズ」という商品があった。過去何度か滑って転んだ経験がある僕は、雪道、凍った道など、滑りやすいところには全てこのスベラーズをつけて欲しいと思う。スキーが好きの人なら雪が降ったら「滑ろうぜ」とスキー場へ行くのだろうけど、今なおオミクロン株が猛威を振るっている中、僕は早々とまん防決めこみ、自宅待機でスベラーズの冬眠生活に入りたい。

2022年1月30日
文:河野洋

[プロフィール]
河野洋、名古屋市出身、'92年にNYへ移住、'03年「Mar Creation」設立、'12年「New York Japan CineFest」'21年に「Chicago Japan Film Collective」という日本映画祭を設立。米国日系新聞などでエッセー、音楽、映画記事を執筆。現在はアートコラボで詩も手がける。

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