マガジン一覧

2020/09-12

年男の終演

8 本

-ねずみの師走-

どうやらいまの棲み家を 年明けには 引き払わなければならなくなりそうだ。 そうなると 好物のチーズのことばかりを考えてもいられず、 かと言って他の町にも よくない細菌が蔓延しているという噂を聞きつけ、 にっちもさっちも行かなかくなった。 ただ元はと言えば、 現在の住まいを変更しなければいけない とは思っていたのだ。 時期がいくぶん早まっただけのことである。 「どこへ移動しようか」 ひとりで町を歩いて考えてはみるけれど、 あまりよい考えが浮かんでこない。 何も浮かんで

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-ひつじとねずみ-

ひつじとねずみと言っても、 ひつじの方が若い。 しかし、 この町ではひつじの方が先輩で ねずみは仕事の基本から色々と ひつじの背中を見て学んできた。 なぜそうしたのかと言うと、 その方が効率的だと思ったからだ。 ひつじはあまり口うるさく 他人に諭すタイプではなく、 もっと言ってしまえば ”傍らにヒト無きが如し” という態である。 本来は群れをなして生きる品種なのに。 それでも、周りの後輩たちは このひつじのやることに付いてきた。 やはり、その方が手っ取り早いと 感じた

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大人と子供

いつかフジテレビにて 21時55分くらいに数分間だけ放送されていた 視聴者参加型の 2者択一の番組があって、 たしか僕が20代半ばの頃だったので 10年くらい前のことだろうか。 (スマートフォンが普及し始めた頃だったと思うが) とある日 『大人と子供、楽しいのはどっち?』 のようなお題があって、 当時の僕は 「責任がないし自由だし子供の時でしょ」 と1人でぶつぶつ呟きながら 投票結果を見ていたところ (この手の番組を見ていても 視聴者参加はしない口、傍観者の類) 結果はたし

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星回り

先日、 さそり座の友人が 誕生日を迎えた。 彼の職業は刑事で、 探究心とディープな懐を備える 彼にはやはり適職と言えるのか。 12年くらい前にとある職場で 占星術を語っている同僚がいて、 その当時は 「そんなの当たるのかなあ」 という具合に対抗していたけれど、 古代に誕生してから形を変えつつも 現代まで受け継がれているとするならば、 一見の価値はあるのかなと感じている。 科学の実証だけでは 割り切れないことも多く、 感性が豊かで生命力がより強いとされる 女性の支持を集め

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2020/06-08

つゆ入り~セミの声

25 本

テーマパーク

東京の練馬区にある としまえんが 8月末で閉園するらしい。 それを知った時は、 「ついにその日が来てしまったか、、、」 と残念に思ったのだ。 小学生くらいの時に見た 遊園地の特集の雑誌にて、 一番はじめのページに 掲載されていたのが 「豊島園」であり、 自分の中では 日本の遊園地と言えば やはり「豊島園」であった。 この豊島園、、 実は行楽で足を運んだことは あまりないと記憶しているが、 中高6年間の運動会にて 使用させてもらった 思い出深い場所なのである。 僕の中学

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よるの空

子供の頃、 千葉に住んでいた 母方の祖父母に連れられて 夜空の花火をよく見にいった。 初めて見た時はひどく感動したが、 小学生の半ばくらいから どちらかというと 花火大会には付き物である 屋台の雰囲気の方が好きで、 やれイカ焼きが食べたいだの やれべっこう飴が欲しいだの と言っていた。 けれどもそのうちに、 花火大会には たくさんの観客が伴うことがわかり、 (人が多いのは苦手だった) 小学生の高学年には次第に 元気を失っていったように思われる。 大学生の頃にも 花火大会

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とある夏の日

夏休み、、、 思えば、 高校生の頃も 大学生の頃も 20代の大方も 夏の休みの日の過ごし方は ほとんど変わっていない気がする。 和室にて TVでは甲子園の試合が流れていて、 (実際はほとんど観ていない) 体は横になりながら アイスでも食べている。 海もプールもほとんど行かない。 (行ったら行ったで、それなりに騒ぐ) 8月前半の深夜には NHKの戦争ドキュメントが放送されていて、 一時期は食い入るように見ていた。 何本も印象的な番組があったが、、、 80歳近くになる

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出どころ

基本的に やる気が出ない性質ではあるが、 自律神経が整わないと もはや体が作動しなくなる傾向にある。 それはまるで、 具合の悪いハトが その場に座ったままの状態で 動かなくなるかように。 調子が悪くても 音には一往の反応を見せる。 音楽は聴いている。 spotify のプレイリストの中身も そろそろ飽き始めた頃のようだ。 好きなラッパーの ミュージックビデオの舞台が 山梨県のとある駅である。 僕の父親は鉄道マニアであるが、 そう言えば 僕は電車よりも 駅の外観やホームが

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2020/05

自粛生活 5月編

24 本

フロック

日本ダービーを見ていて、 やはり思い出す馬は多いけれど。 以前、2冠馬として書いた ミホノブルボンと同様に、 サニーブライアンもやはり 逃げ馬だった。 競走成績 10戦4勝。 成績はそんなにパッとは しないのかもしれないが、 1997年のクラシック戦線を 見ていた人であれば、 はっきりと覚えているはずの 競走馬である。 「これはもう、フロックでもなんでもない! 2冠達成!!」 当時フジテレビの三宅アナの この実況は有名である。 サニーブライアンは 単勝6番人気で 日

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映像とパピルス

カルピス、 じゃないよ。 最近変わらずに ネットでTVドラマを観ていて、 動画のインパクトって やっぱり強いよな と思うのである。 動画 vs 紙面 について少し考えてみよう! 動画は ・見た目のインパクト ・音響効果 がかなり強く 視るものを映像の世界へと引き込む。 対して 紙面は ・後々に残る文字媒体 ・特有の静けさ があるために 読み手に考察の余地を与える。 さらに、 動画というか 映画に関して。 洋画は お金がかかっていることもあり、 やはりスケールが大き

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フィードバック

とりあえずの宣言は、 解除を迎えた。 明恵夫人の旦那の マスクの形状は、 変わらずに 気になるところである。 なんだかんだ言って、 僕は自分の半端な身分をいいことに、 この2ヶ月間くらいを たのしんでいたのかもしれない。 昨日はまた、 ひさびさの出勤だった。 結構たのしかったけれど、 普段部屋の中で モルモット的に 動いているだけの自分としては、 やはり疲れた。 疲れの原因は平時の睡眠不足から 来ているのかもしれない。 家にこもっている時は そこまでのエネルギー消費は

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グレーゾーン

この自粛生活、蟄居暮らし、ほら穴住まい の期間中 とある sns で大学時代の友人と繋がりを得た。 彼は現役の教師なのだが、 僕がいままでに見てきた中で トップクラスに人格が優れていて、 彼なら教壇を任せられるなと思う人間である。 (どこか上からな口振り) 昨夜 LINE にて、 彼からは「泰然自若」 というワードも得ることができた。 激動の流れの中でも、 自分を見失いたくはない という気持ちの表れであろう。 (どこか上からな展望) 先日、とある課題をやっていて 「より

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2020/04

自粛生活 4月編

24 本

賜物

僕に、 もし天から何か 授かったものがあるとすれば、 それはおそらく 「睡眠」であろう。 この世に生を享けてから いままでの間、 睡眠不足はあったものの、 睡眠障害はほぼないと思われる。 ちびっこの時は、 かなりの時間 眠っていたらしい。 いつか家族で北海道を旅行した時、 父親が運転するレンタカーには、 助手席にて道案内をする弟がいて、 その後部座席に僕が座ったのだが、 あまりに天気がいいものだから、 道央を走っている最中 ほぼほぼ眠ってしまったことがある。 その時、

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野球街道

たまには 自分が少しは打ち込んできた、 野球の話。 中学の部活動で 軟式野球部を選んだのは、 母方の祖父母が巨人ファンであったこと 中1当時は朝練がなかったこと 野球という競技をなめていたこと などが挙げられる。 小学校3年生くらいの時、 祖父母にグローブを買ってもらい、 ”キャッチボールをする少年” に憧れていた自分がいる。 母方の実家は千葉にあったが、 もとも東京都の出身で、 野球=巨人であった。 (ちなみに、父方の実家は横浜であり、 大洋ホエールズの流れだった

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-すれちがい-

春から大学生になる コウジは、 アルバイトを探していた。 3月、 自宅の郵便ポストに入っていた、 「◇◇水族館/今春OPEN! 新規スタッフ募集!!」 というチラシの文字が コウジの目に留まり、 「これでいいかな」 と思って、 コウジは 面接を受けに行った。 タイミングを同じくしてか 結構人数がいる。 アルバイトの面接は はじめてだったので、 コウジは少し神妙にしていた。 が、 ひとり、 色白ではあるが 髪がロングの 今風の女の子の姿が、 コウジの目に留まった

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おやつの時間

ヨックモックの お菓子の中では、 このグリーンのやつが 一番好きかもしれない。 小学生だった頃、 放課後 遠くへ遊びに行く時も、 自転車とお菓子は 常に付き物であった。 「何をしようか」 というのもあったが、 「何のお菓子を食べるか」 ということに 関心が向いてしまった ところはある。 よく食べていたのは、 うまい棒と ポテトチップス。 (いまより若い時は 湖池屋チップスの ちょっと厚い感じが好きだったが、 いまは カルビーポテチの軽い感じも 好んで食べる) 甘いもの

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2020/01-03

年男その1

42 本

ザ・ステイヤー

過去は美化される。 僕のいけないところでもある。 さて、 以前ミホノブルボンについて 少し書いたことがあるけど、 久しぶりに競馬の話題。 『みどりのマキバオー』という漫画が 僕の小学校高学年~中学生の時にあって、 個人的に印象が強いのが カスケード不在の中 最後の1冠を獲りにいく アマゴワクチンの勇姿である。 (マキバオーは4着に終わる。 主役が結構勝てないのが この漫画の醍醐味でもある) アマゴワクチンは 形がシャドーロールを付けているから ナリタブライアンを想起させ

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パラダイム転換

年明けに 母方の伯父さんと 話をした時に AI(人工知能)の話題になって、 彼は 「おれら団塊の世代がいなくなったら 一気に転換が進むのでは」 と言っていた。 僕は、恥ずかしながら AIについてあまり知らないのだが、 「まあそうかもな」 と思った。 現状のコロナのことも相まって、 いろいろな基準が 見直されることに なるだろう。 人は、既成の価値観が 変化することに抵抗を覚える。 昭和生まれで保守的な僕も 例外ではない。 若い世代の方が 柔軟性が高かったりする。 例え

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フィクションとノンフィクション

高校1年生の冬、 劇場版の『バトル・ロワイアル』を 観終わってから シアターをあとにすると、 外は何事もなかったかのように すっきりと晴れていて、 人々は平和そうに道を歩いている。 何事かが起こったら それはそれでまずいのだが、 その虚構と現実とのギャップに 耐え切れなくて、 10代の頃 映画をみるのを一時やめた、 というのもある。 作品に入りすぎてしまうのだ。 いまでもそういう傾向がある。 職場の映画通のリョウ君は、 その作者の意図を汲み取るのが ”闘い”であって、

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side B

サッカーでは アウトサイドキック (足の甲の外側を使って球を蹴ること) という技術があるのだが、 あれはやはり美しい。 人は常日頃 社会集団の中で 生きているけれども、 それはそれで みんなのストレスにも なっているのかなと。 僕も子供の時から 学校に通って、 なんとなく大学にも進学して という感じだったけれど、 義務教育ですら 社会が決めたことだし、 個人がすごく不自由を感じるならば そこまで合わせる必要はないよね。 僕はチキンだから まあまあ合わせていたけど。 学校

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