【拙訳】スタンダードプレイヤーが知っておくべき20の「奇妙な」相互作用 by Frank Karsten(Channel Fireball)

 https://www.channelfireball.com/articles/20-weird-interactions-that-every-standard-player-should-know/

 新しいデッキの記事があまり見当たらず……。この文中にリンクが貼ってある白黒吸血鬼ぐらいかなぁ。

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20 Weird Interactions That Every Standard Player Should Know
By Frank Karsten // 2 Jul, 2019

 MtGは複雑なゲームだ。直感的ではなく、ルールを理解しなければならない複雑な相互作用がいくつかある。とりわけ現在のスタンダードには、多くのクリーチャーやプレインズウォーカーに、忘れやすい常在型能力が備わっている。
 これらの多くは「カードを読め」で片付くんだが、トップにいる経験豊富なプレイヤーでさえも、あまりにも頻繁に見逃している。下記に記した相互作用は実に奇妙だ。なお、最後の6つについては基本セット2020のカードを含んでいる。君たちの助けになったら嬉しい。

1.《主無き者、サルカン》でドラゴン化したPWは忠誠度が0でも生き残る

 《サルカン》の+1能力で4/4のドラゴンになったPWは、ターン終了時までPWではなくなる。その状態でも依然として起動型能力や常在型能力は有効だが、あくまで彼らはクリーチャーだ。つまり、これの意味するところは、彼らが忠誠度を失ったり、ダメージを受けて忠誠度を失ったとしても、それによっては死なない、ということだ。
 忠誠度が2の《ボーラスの壊乱者、ドムリ》をコントロールしていて、《サルカン》でドラゴンになってもらうと、自身の忠誠度能力で、自身と格闘することができるし、その上、5/4クリーチャーとして攻撃に参加できる。この能力起動によって忠誠度はゼロになるが、すぐに死にはしない。当然《サルカン》の能力が切れるターン終了時にはいなくなってしまうが、最後の決着をつけるターンであれば問題ない。

2.ただし《ギデオン》だけは別

 ドラゴンになった《サルカン》を2枚の《ショック》で落とすことはできるが、《ギデオン》だけはだめだ。
 彼のコントローラーのターンである限り、すべての彼へのダメージは軽減されてしまう。彼への火力呪文は一切意味を為さない。僕は一度、相手の《呪文貫き》を警戒して、相手のターンにマナを使わせるべく《稲妻の一撃》を相手のアップキープに《ギデオン》に打ち込んだことがある。他のプレインズウォーカーには意味があるんだが、彼にだけは効果がないんだ。
 それはさておき、《不屈の護衛》で、クリーチャーでない《ギデオン》を守ることができるのはご存じだろうか? 「選ばれたクリーチャー」というテキストはあるが、その起動型能力を起動する際にクリーチャーである必要はないんだ。
 しかし、この場合も《稲妻の一撃》などによる直接火力には効果がない――破壊不能はダメージ軽減ではなく、PWへの火力は、忠誠度カウンターを取り除いてしまうからだ。

 ※最後に:《ギデオン》の奇妙な挙動をひとつ。M20の《群れの力、アジャニ》の+1能力では《ギデオン》は2回数えることになる。1回はクリーチャーとして、1回はPWとして。

3.自分のクリーチャーを人質にとれる

 普段は《人質取り》は対戦相手のクリーチャーに使うだろう。しかし、《人質取り》の効果は対戦相手のものに限定されない。例えば、《精鋭護衛魔道士》を人質にとり、全体除去から守ることもできる。《人質取り》が倒されれば《精鋭護衛魔道士》が戦場に戻り、2ターン後には攻撃に転じることができるだろう。
 もし《ケイヤの怒り》を気にする必要がないのなら、そのまま2回目を唱えればいい。EtB能力の2回目がすぐ得られる。
 自軍のクリーチャーに使える、というのは諸刃の剣になり得る。《人質取り》の能力は解決必須となる。自軍に大量の人間・トークンがいて、相手に《狂信的扇動者》が1体、という状況を思い浮かべてほしい。《人質取り》自体がスタック上にある間に《狂信的扇動者》がトークンを除去してしまうと、自軍のトークンを巻き添えにせざるを得なくなる。

 ※最後に:《人質取り》がアーティファクトを追放できることを覚えておくこと。スタンダードではそこまでアーティファクトを見かけないが、《不滅の太陽》《宝物の地図》《ボーラスの城塞》あたりを盗めれば勝利は近い。

4.自軍の軍団・トークンを対象に《永遠神の投入》を打てる

 自軍に、序盤の動員呪文で生まれたゾンビ・軍団・トークンがいるなら、そこを対象に《永遠神の投入》を打つことができるし、そのトークンは生き残る。2/2の軍団に打ち込めば、スペルが解決された後には「4ダメージを負った状態の6/6」ができ上がる。
 もうひとつ《永遠神の投入》がらみの奇妙な動きを紹介すると、解決時に対象のクリーチャーがいる必要はない。例えば、《狂信的扇動者》と対戦相手を両方対象に取っている。この場合には、(《狂信的扇動者》がいなくなれば)ダメージを与えられず4点のライフは得られないものの、動員4(とライブラリー削り効果)は、対戦相手が適正な対象である限り、通常通り解決される。

 ※最後に:相手に《豊潤の声、シャライ》がいる場合は対戦相手のライブラリーを削れない。《ドミナリアの英雄、テフェリー》を使う際には特に注意が必要で、バントランプなどの《ハイドロイド混成体》や、相手のライブラリーを攻撃したい場合は注意しよう。

5.《テフェリー》は《約束の終焉》を止める

 《約束の終焉》や《戦慄衆の秘儀術師》といった、呪文をスタック上で唱え解決する効果がある。しかしこれらは呪文の解決中に唱えることになるので、ソーサリー・タイミングで「唱える」ことにはならない。そう、《時を解す者、テフェリー》の常在型能力が機能している以上、これらの呪文は解決されない。
 同様に、《テフェリー》は《鎖回し》+《席次》コンボ(通称:デスチェイン)も、自身の《舞台照らし》に「対応して」何かを唱えることも許されない(最後の状況は《実験の狂乱》影響下で、《舞台照らし》のすぐ下に火力が見えた場合などに起こり得る)。

6.《グルールの呪文砕き》が《チャンドラ》をワンパンする

 《グルールの呪文砕き》はコントローラーに自ターン限定の呪禁を与える。その状態で対戦相手の《炎の職工、チャンドラ》の忠誠度が失われた場合(大体は《呪文砕き》で彼女を攻撃した際に起こる)、彼女はダメージを他のPWに与えることになる。もし《チャンドラ》が戦場にいる唯一のPWだった場合、彼女自身が唯一の適正な対象になるため、そのダメージを自身に与え続けることになる。
 もうひとつ、「対象の対戦相手」というテキストを持つカードで頻出するのは《不可解な終焉》がある。《呪文砕き》状況下で自分のターンに《ブロントドン》などで破壊を試みてはいけない。3/3トークンを得ることはできないからだ(そもそも、なぜ3/4を犠牲に3/3を得たいかわからないと思うが、《ブロントドン》で攻撃しながらブロッカーを必要とするタイミングが確かにあるのだ)。

 ※最後に:《時を解す者、テフェリー》の+1能力を使って《思考消去》を相手のドローステップに打ち込む時は《呪文砕き》がいないことを確認しよう。間抜けに見えるぞ。素直に自分のターンに打つべきだ。

7.《ナーセット》はPWでありながら《不滅の太陽》を押さえこむ

 対戦相手が《不滅の太陽》をコントロールしていると、忠誠度能力は起動できないので、PWを送り込むのは馬鹿らしくなる。しかし、常在型能力や誘発型能力は依然として有効だ。つまり《ナーセット》は《不滅の太陽》の追加ドローを阻止できる。追加ドローをする前に相手の《ナーセット》の存在を確認しよう。

8.《トロスターニ》は盗めない

 《不和のトロスターニ》は《正気泥棒》《人質取り》対策だ。もし相手の《トロスターニ》を追放しても、絶対に唱えないこと!
 また、《トロスターニ》は《集団強制》で盗られたすべてのカードを元に戻す。誰が《トロスターニ》をコントロールしていようが関係ない。しかし、《集団強制》を使う側も、《トロスターニ》対策を講じることはできる。


・PWのコントロールは元に戻らないので、ずっと味方に付けることができる。
《時を解す者、テフェリー》の+1能力使用時、相手の《トロスターニ》の能力解決後に打ち込むと、コントロールを一時的に奪うことができる。いずれは元に戻ってしまうが、相手を攻撃する猶予が生まれる。

9.攻撃クリーチャー指定ステップを忘れるな

 MTGAでは自動的に攻撃クリーチャー指定ステップを飛ばす(フルコントロールモードでないかぎり)ので、ブロッククリーチャー指定前に何かをすることを忘れやすい。
 一例として《軍団の上陸》の変身能力がある。もし《法ルーンの執行官》がいて、ブロックされそうなクリーチャーをタップするのに十分なマナがあるとする。他にも《一番砦、アダント》でトークンを生み出すことで《空まといの軍団兵》が飛行を得られる場合もある。《ギデオン》で警戒を得た《法ルーンの執行官》は、自身の攻撃後にブロッククリーチャー候補を寝かせることもできる。
 どの状況も極めて稀なので、MTGAのオートスキップ機能は、ちょっと変則的なことをしたいときに邪魔になるので、フルコントロールモードに必要に応じて入ることは問題がない。とはいえ戦闘開始時にできることがある場合に必ず止まる、というのも考えものでほとほと困っている。絶対に理解できることではないだろうなあ。

10.《無効皮のフェロックス》の存在を忘れるな

 6/6呪禁の大型クリーチャー《無効皮のフェロックス》にはもっと大切なテキストがある。いいか、絶対に《思考消去》でこいつを選んではいけない。同様に《破滅の龍、ニコル・ボーラス》や《聖堂の鐘憑き》をグルール相手に出すときには、このリスクがあることを忘れないでほしい。
 とはいえ選択肢がないこともある。2ターン目に《思考消去》を打ち込んだら、《フェロックス》と土地しか持っていなかった、なんて場合は《フェロックス》を選ばざるを得ない。フルボッコだろうなぁ。

11.《戦慄衆の秘儀術師》で唱えた呪文も《フェザー》で手札に戻る

 《戦慄衆の秘儀術師》で攻撃し、墓地の《果敢な一撃》を唱える、というシーンを想定してほしい。解決に際し、《フェザー》影響下では置換効果が2つ発生する。コントローラーは影響を受ける効果を選ぶ権利があり、《フェザー》の置換効果を先に適用することで、最終的に《フェザー》の遅延誘発能力で、墓地から唱えた呪文は手札に戻ることになる。
 そう、この2枚は非常にいいシナジーを形成する、強力な相互作用だ。

12.《トミク》は《ニッサ》の能力を封じる

 自軍に《トミク》がいるとき、《ニッサ》の能力を起動することはできても、+1能力で土地を対象に選ぶことができない。《トミク》は「スタンダードの女王」に一石を投じるクリーチャーなのだ。
 加えて、《トミク》は《世界のるつぼ》を完封し、《タミヨウ》や《腐れ巨人》の能力で土地を戻すことも防いでくれる。奇妙なことに、《生ける竜巻》で土地を手札に戻す2番目の能力は、土地を対象にとっていないため防げない。

13.《ニッサ》で6/6を生み出せる

 《ニッサ》の+1能力はクリーチャーでない土地限定なので、通常は3/3の軍勢を生み出すのみとなる。しかし《総動員地区》にカウンターを乗せる場合は話が別だ。もし起動型能力を起動すれば、+1/+1カウンターを得た上で3/3になるので、6/6クリーチャーが用意できる。ここまでサイズが大きくなれば相手のブロッカーも蹂躙できるだろう。


14.《タミヨウ》はハンデスや生け贄を防げる

 一番忘れやすいPWの常在型能力への警告だ:《タミヨウ》は《アングラスの暴力》、《聖堂の鐘憑き》、《思考消去》を防いでくれる。

15.《睡蓮の原野》と《血染めの太陽》の組み合わせはグッド

 さてさて、ここからは、お待ちかねのM20カードの相互作用の紹介だ。僕のお気に入りは《血染めの太陽》が《睡蓮の原野》のマナ能力以外をすべて失わせてくれる、というコンボだ。《睡蓮の原野》はタップインすることもなく、土地を生け贄に捧げることもなく、3マナをすぐに生み出すことができる。

16.《漆黒軍の騎士》は自身のライフ支払もチェックする

 最初に《漆黒軍の騎士》の能力を見たとき、僕はこいつが育つのが対戦相手に4点以上のダメージを与えたときだけだと思っていた。もう一度読み直すと、自身へのダメージでもしっかりと誘発するし、ライフ支払でも誘発することに気が付いた。そもそもこいつは、どんな手段によってライフが減ったかを問わないようだ。
 《漆黒軍の騎士》から《アダントの先兵》へ繋ぐことで、2ターン目に2/3を作り出せる。アグロデッキのスタートダッシュとしては悪くないんじゃないかな。《傲慢な血王、ソリン》や《祖先の象徴》でフォローアップもできるし、強力な部族デッキが組み上げられるんじゃないかな。PVがそれに関する記事を書いていた(https://www.channelfireball.com/articles/building-standard-vampires-with-core-set-2020/?_ga=2.210768476.833458345.1561403415-1509512113.1559944799)ので読んでみてくれ。

17.《死者の原野》と《風景の変容》はコンボ

 リリースノートをそのまま引用しよう。

「複数の土地が同時に戦場に出たなら、《死者の原野》自身がその中に含まれていた場合も含めて、それらの土地すべてを考慮する。たとえば、《風景の変容》の解決中に土地8つを生け贄に捧げ、ライブラリーから異なる基本土地・カード5枚と《死者の原野》カード2枚と他の名前が異なる土地・カード1枚を探したなら、あなたはゾンビ・トークンを16体生成することになる。」

18.《墓掘りの檻》もすべては防げない

 《墓掘りの檻》がスタンダードのサイドボードの選択肢に加わる。《戦慄衆の指揮》のクリーチャー部分のリアニや、《実験の狂乱》《約束の終焉》を封じ、《再燃するフェニックス》や《弧光のフェニックス》が戻ってくるのを封じる。どれも重要な効果ばかりだね。
 とはいえ、《墓掘りの檻》で止められないこともある。

・《墓掘りの檻》では、《戦慄衆の指揮》でPWが戻るのを防ぐことはできない。
・《墓掘りの檻》では、《実験の狂乱》でライブラリートップから土地を置くことは防げない。土地のプレイは「唱える」ではないからね。
・《墓掘りの檻》は、《舞台照らし》には効果がない。《舞台照らし》は追放領域から唱えている。
・《墓掘りの檻》では、《死せる生》を止められない。(スタンダードの話じゃないけど、何度も間違われているからね!)

19.《霊気の疾風》は《変容するセラトプス》の解決を防げる

 スタンダード環境ではいくつかの「打ち消されない」呪文がある。《変容するセラトプス》、《殺戮の暴君》、《目覚めた猛火、チャンドラ》、《パルン、ニヴ=ミゼット》が最たる例だ。しかしながら、《霊気の疾風》はこれらがスタック上にある間に対象に取ることができる。《変容するセラトプス》はプロテクションを持っているが、戦場でしか機能しないからだ。

20.プロ白クリーチャーも《ケイヤの怒り》で破壊される

 ベテランプレイヤー諸兄には当然の話になるが、プロテクション能力はスタンダードでは随分御無沙汰していた。遥か昔から説明されてきた《黒騎士》と《神の怒り》の話をしようと思う(笑)。

 プロテクションは全体破壊除去には無力だ。そう、プロテクションは「ダメージを受けない」「対象にならない」ため、《轟音のクラリオン》や《不可解な終焉》では《解き放たれた狂戦士》を止められない。しかし、このクリーチャーは破壊耐性を持つわけではない。《ケイヤの怒り》や《次元の浄化》で対処可能だ。


■まとめ

 いつも記事を読んでくれてありがとう。この記事がいくらかでも役に立つと嬉しい。
 僕が見逃した「奇妙な」相互作用はないかな? ぜひコメントで教えてほしい!

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