【拙訳】M20加入後のボロスフェザー by Frank Karsten(Channel Fireball)

 https://www.channelfireball.com/articles/upgrading-boros-feather-core-set-2020/


 途中からマナベースの話を始めるあたりさすがFrank Karsten。

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Upgrading Boros Feather with Core Set 2020
By Frank Karsten // 4 Jul, 2019


 テーロス時代のスタンダードでは、次のカードを使ったデッキがトップメタの一角にあった。

《神々の思し召し/Gods Willing》
《果敢な一撃/Defiant Strike》
《戦識の重装歩兵/Battlewise Hoplite》
《啓蒙の神殿/Temple of Enlightenment》

 基本セット2020でも、とてもよく似たデッキを構築することができる。

《神々の思し召し/Gods Willing》
《果敢な一撃/Defiant Strike》
《第10管区の軍団兵/Tenth District Legionnaire》
《凱旋の神殿/Temple of Triumph》

 歴史が示すように、これは成功の秘訣だ。

 もはや自身の言葉で語るまでもない。

My room temperature take of the day: Between Gods Willing, Temple of Triumph and the London Mulligan, Feather is going to be the most improved existing deck after M20 releases.
— Wyatt Darby (@WyattDMTG) June 25, 2019
(訳:一気に興奮してきたよ。《神々の思し召し》《凱旋の神殿》、そしてロンドンマリガンの実装によって、M20のリリース後に一番強化される既存のデッキ、それがボロスフェザーだ / Wyatt Darby、2019年6月25日)

 M20以前は、僅かな成功を収めたにすぎない傍流のデッキだった。GPカンザスシティのTOP8、MTGAでのMCQWの2日目進出、そしてGP台北のTOP8(※覚前輝也氏)程度に留まる。個人的には、MtGAのラダーデッキとして多くのゲームを大いに楽しんだデッキでもある。グルールや赤単に対しては非常に強いものの、白単やエスパーヒーローには苦戦を強いられる。その苦戦の原因が、《防護の光》がプロテクションと違い役に立たないからだ。


【M20後のボロスフェザー】

■《神々の思し召し》はどう影響するのか?

 M20以前は、《第10管区の軍団兵》を大きく育て、《防護の光》で守る戦い方が主流だった。しかしこれは《ドミナリアの英雄、テフェリー》や1/1トークンへのチャンプブロックに非常に弱いし、《議事会の裁き》には手も足も出ない。しかし《神々の思し召し》になれば、そういった除去から身を守れるほか、ブロッカーの隙間を通すこともできる。《時を解す者、テフェリー》に対しても、《神々の思し召し》で1ターンの間守る事ができる。白1マナ浮いている状態で《フェザー》をコントロールしていて、かつ相手が《時を解す者、テフェリー》を出してきた時のことを想定してほしい。バウンスに対応してプロテクションを付与することはできないが、《テフェリー》がスタック上にある内にプロテクション(白)か(青)を付与しておけば、《テフェリー》でバウンスすることはできず、次のターンに攻撃を仕掛けることができる。《防護の光》ではこういった芸当はできない。

 公平に評価するなら、《防護の光》が勝る部分もある。《神々の思し召し》では《ケイヤの怒り》を防ぐことはできない。そうはいっても他の点で遥かに優れているため、このスペルの加入は実質的な強化といって差支えないだろう。

■《凱旋の神殿》はどう影響するのか?

 M20以前は、マナベースの都合で、ボロスフェザーは最低2枚の《ボロスのギルド門》を採用せざるを得なかった。喜んで採用したいカードではなく、しかし《贖いし者、フェザー》をキャストするためのマナベース構築には必要な犠牲だった。これが《凱旋の神殿》になれば大幅な戦力強化となる。

 占術土地はマナスクリューやマナフラッドを防ぐことができ、初手で見通せるゲームレンジが広くなる。とりわけボロスフェザーというデッキ自体が「コンボ」要素を揃えることに注力するデッキであり、カードを多く見られるという選択の影響は大きい。また、ボロスフェザーには1マナ域の生物が採用されていないため、1ターン目にタップインすることの影響は軽微だ。3枚が適正だと思うけど、僕のリストは《トミク》を1枚採用しているので、4枚採用から構築を始めている。

【デッキリスト】

 これが僕の現在のリストになる。

Boros Feather
lands
7《平地/Plains》
3《山/Mountain》)
4《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》
4《断崖の避難所/Clifftop Retreat》
4《凱旋の神殿/Temple of Triumph》
creatures
4《第10管区の軍団兵/Tenth District Legionnaire》
4《戦慄衆の秘儀術師/Dreadhorde Arcanist》
4《アダントの先兵/Adanto Vanguard》
1《高名な弁護士、トミク/Tomik, Distinguished Advokist》
4《贖いし者、フェザー/Feather, the Redeemed》
2《軍勢の戦親分/Legion Warboss》
1《正義の模範、オレリア/Aurelia, Exemplar of Justice》
spells
2《黒き剣のギデオン/Gideon Blackblade》
4《神々の思し召し/Gods Willing》
4《果敢な一撃/Defiant Strike》
4《無謀な怒り/Reckless Rage》
3《ショック/Shock》
1《戦いの覚悟/Gird for Battle》

sideboard
3《トカートリの儀仗兵/Tocatli Honor Guard》
2《牢獄領域/Prison Realm》
2《暴君への敵対者、アジャニ/Ajani, Adversary of Tyrants》
2《溶岩コイル/Lava Coil》
2《啓蒙/Demystify》
2《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer》
2《軍勢の戦親分/Legion Warboss》

 新しい環境のメタゲームが固まっていないため、サイドボードは流動的だ。他の選択肢としては《治癒の恩寵》、《防護の光》、《凶兆艦隊の向こう見ず》、《轟音のクラリオン》、そして《シヴの火》がある。

【アドバイス】

・PWデッキ(エスパーコントロールやシミックネクサス)には《ショック》《無謀な怒り》をサイドアウトする。
・クリーチャーデッキ(赤単や白単)には《戦親分》《ギデオン》《アダントの先兵》をサイドアウトする。
・すべてのマッチにおいて《戦いの覚悟》は減らしやすい枠だ。
サイドボードは先手後手でスイッチしよう。先手なら脅威を増やし、後手ならリアクティブなカードを増やす。
・マリガンは積極的に行おう。ロンドンマリガンルールは土地が2枚より少ない/4枚以上ある/クリーチャーがない/クリーチャー以外のスペルがない、というシチュエーションを減らすことができる。
・《フェザー》をコントロールしている時に《果敢な一撃》を使う場合は、相手の第2メインフェイズの間に解決しよう。

【色タッチをしないのはなぜ?】

 僕の意見だと、タッチカラーによるカードパワー上昇は、マナベース悪化に見合ったほどではない

 タッチカラーの選択肢は次の通りだ:

・タッチ青は主に《潜水》のためだったが、《神々の思し召し》加入後はもはや不要だ。
・タッチ黒は主に《復讐に燃えた血王、ソリン》のためだが、色を足すにしてはパワー不足だ。
・タッチ緑は《争闘//壮大》《ドムリの待ち伏せ》《グルールの呪文砕き》に加えて、《季節の成長》という新顔も選択肢に加わる。
・先述のリストにおいては、上記を既存の1マナ・2マナ域や《無謀な怒り》1枚を差替えすることはできる。しかしマナベースはどうする? 基本地形を《寺院の庭》《踏み鳴らされる地》《陽花弁の木立ち》に差し替えようものなら、《断崖の避難所》はタップインの確立が極端に上がるし、ショックインが頻発しライフ水準は低くなり、《暗殺者の戦利品》で壊滅的な打撃を被るだろう。

 もっといえば、10枚程度のマナ発生源を加えた程度ではタッチカラーとして不十分だ。2枚の《凱旋の神殿》を緑絡みの土地にすることもできるが、これは3ターン目に(W)(W)(R)を出すことが難しくなる。(先手時、1マリガン後で最低3枚の土地を引いたと仮定した場合、)97%が95%になり、さらに占術の機会も減る。これは小さくないデメリットであり、総合して考えると、2色のままで十分だと判断する。

【まとめ】

 基本セット2020のリリースによって、ボロスフェザーがスタンダードのデッキ候補として台頭するのが待ち遠しいね。コンバットでの計算とシナジーが豊富なアグロデッキを使ってみたいなら、ぜひ試してみてくれ!


【追記:記事コメ欄より】

Bruno Müller
I'm willing to try your deck, but I really think we could have more protection, now that the both overlap. Something like 4 god's willing and 1 or 2 sheltering light maybe?
 このデッキを思し召しと信じてぜひ、試してみようと思います。でも防御系スペルがもっと欲しいので、複数採用してもいいのではないでしょうか。4《神々の思し召し》2《防護の光》なんてどうでしょう?

Frank Karsten
Certainly a reasonable option. I toyed around with builds featuring 1 Sheltering Light either main or sideboard. Although I ultimately cut them, this would be a good choice especially if Kaya's Wrath is popular.
 理にかなった選択だね。いろいろ構築をいじる中で、1《防護の光》はメインかサイドどちらかに1枚入れようと思う。今回入れなかったとしても、将来的に《ケイヤの怒り》が使われることが多くなったらいい選択肢になると思うよ。

Nick Simpson
Probably being a bit harsh, but not sure there is much to see here. Updating the deck with a couple of cards. Hmmm. What about going Mardu with Kaalia, Zenith Seeker for improved Feather selection. Or Fencing ace instead of Adanto Vanguard for more damage with Samut's Sprint. Good coverage of the two additional cards, and agree on them, just would have been good to see a bit more coverage/breadth. Cheers.
 ちょっと厳しいデッキだと思いましたが、この記事を読んで少し思い直しました。2種類のカードでデッキが生まれ変わったんですね。うーん。マルドゥカラーで《カーリア》を入れるのはどうでしょう、《フェザー》を引っ張れますし。《剣術の名手》は《アダントの先兵》よりも《サムトの疾走》で大きなダメージを与えられますが、どうですか。この記事はいい記事で、2枚のカードについては非常に納得できるものでした。もっとカバレッジやその他の記事を読めると嬉しいです。頑張ってください。
Fernando Ulloa
If you're planning to play Fencing Ace, than you should probably play Swiftblade Vindicator instead. The problem with both is that they require pump, otherwise they're dead weight.
Adanto Vanguard is not really well positioned, but it is better by himself, and works nicely with the Reckless Rages and Gideons. I don't think he's all that powerful now, but seems better than Vindicator or Fencing Ace to me.
 FF外失。多分、《剣術の名手》よりは《速太刀の擁護者》のほうがいいですよ。どちらにしてもパンプスペルに依存するわけで、それが引けなければ細いクロックになってしまうので。
 《アダントの先兵》はいいポジションではない気がしますが、これを超えるカードがないのと、《無謀な怒り》やギデオンと相性がいいんですよね。彼は以前ほどパワフルなカードではなくなってしまったと思うので、《擁護者》か《剣術の名手》にしたほうがよさそうな気がするんですがでどうでしょう。

Frank Karsten
These cards require completely different builds, I think:
- Kaalia needs far more Angels to be reliable.
- Fencing Ace is an interesting option indeed, but then I'd go all-in on double strike and pumps with Swiftblade Vindicator, Gruul Spellbreaker, Aurelia, Collision//Colossus, Infuriate, and Uncaged Fury, in a deck that probably wouldn't bother with Dreadhorde Arcanist / Reckless Rage / Shock / Feather.
 そういったカードを採用すると根本的に構築の方向性が異なってくるね。僕が思うに、
・《カーリア》を採用するなら、もっともっと天使を増やさないといけない。
・《剣術の名手》は実に面白い選択肢だね。しかしそうなると二段攻撃に絞って、《速太刀の擁護者》《グルールの呪文砕き》《オレリア》《争闘//壮大》《立腹》そして《放たれた怒り》あたりを入れてオールインしたいところだけど、そういうデッキについては《戦慄衆の秘儀術師》《無謀な怒り》《ショック》《フェザー》は入らないだろうね。

Jacques Xahaal
Interesting. What about a blue splash for Kykar, Wind's Fury? Too slow?
 興味深い記事です。青をタッチして《カイカ》を使うのはどうでしょう? 遅すぎますか?

Frank Karsten
I don't think it's too slow. If Kykar were 2WR, I would probably run it over some of the one-of creatures in my current list. But I think the increase in card quality is not worth the damage to your mana base.
 遅すぎる、ということはないと思うよ。もし《カイカ》が(2)(W)(R)だったら、1枚採用のクリーチャーとしてリスト入りしてただろうね。ただ、マナベースに負担をかけてまで採用する価値のあるカードという印象はないかな。


Victor Rodriguez
Never understood Warboss over Krenko, even less now with GWill
 (???白緑系のデッキも減っているのに???)なんで《戦親分》が《クレンコ》より優先されているのか理解に苦しみます。

Frank Karsten
Main reason is that Warboss matches up far better against an opposing Teferi, Time Raveler
 《時を解す者、テフェリー》に相対した時《戦親分》のほうがずっと強い、っていうのが主な理由さ。


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