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泣いた泣いた「桜嵐記」〜温かな「声」の振動〜

月組「桜嵐記」を観た。

 「音は全て空気の振動である」最近読んだ大学のテキストに書かれていた言葉。「その振動は相手を震わせ、相手に触れ、包み込む」

 数あるスターがいるけれど、本当に様々なタイプがいる。珠城りょうさんという人は、誠実、実直、包容力そんな印象がある。彼女は作品の中の役を生きるって事が好きだ。昔からそうだ。すぐに役の気持ちに共感し、泣いてしまう。多分、彼女は無意識にそうなってるんだと思う。お芝居が好きな人は、入団した時から、直ぐに演じ始める。本能が演じる事を知っている、求めているんだと思う。そういう子が現れると、私は1人で教室でニヤニヤしてた。心の中で「やったー」と叫んでる。また宝塚を守ってくれる。その子の演技は舞台に温かさを与え、お客様を作品の世界に連れていってくれる。豪華な衣装を揃えなくても、眩しいライトがなくても、その子の持つエネルギーと生命力のみの力、正に「実力」だ。

 戦後、宝塚が生き残ったのはお芝居があったからという「声」がある。例え、芸の技術が未熟でも何故か感動してしまうのは、役に真っ直ぐに誠実に向き合う事をこれまでの先輩達が大切に教えて下さったからだと思う。一番重要なスターの資質。月組にはそんな伝統がある様に私は思う。

 珠城りょうさんの「声」には、温かさがある。決して押し付けてこない。どうぞ作品を楽しんで下さいという優しさがある。だから、彼女と一緒に舞台を創るのは無理がなくてとっても心地良かった。きっと、彼女の「声」の振動は穏やかでぬくもりがあるんだと思う。それが客席にも伝わって、身体と心を震わせて、包み込んでくれる。若くしてトップになる。これは大変な事だ。2番手時代が殆ど無くて、急に役割が大きくなり最初は体力の配分にとても苦労していた。でも彼女は、知っていた。「疲れた」とか「辛い」とは言わない。それがトップである事。少なくとも私の前では。お疲れさまと心から伝えたい。

あー、月組の皆んなが頑張ってる。
なんて愛おしんだ。

すーさん

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