見出し画像

他人の「声」を、自分の「声」に

「おいしい料理は人を幸せにする」
これは、多くの人が共感をしてくれると思う。

 宝塚ホテルではSDGs(持続可能な開発目標「Sustainable Development Goals」)の一環として、神戸にある「チャイルド・ケモ・ハウス」にお弁当を届ける社会貢献活動をしています。それは、一人の従業員の提案から始まりました。
 この施設は、小児がんや難病のお子さんとご家族が、「家のような環境で過ごして欲しい」と建てられた施設です。入院中の子どもとその家族は、狭い病室で、家族バラバラの生活を送ることを余儀なくされています。「チャイルド・ケモ・ハウス」には家のように料理できるキッチン、リラックスして入れるお風呂、疲れた時にごろごろできる場所、付き添いの途中で一人になれる場所、つらい時に泣くことができる場所、兄弟と遊べる場所。また、病状の悪くなった時などに気持ちに負担がかからない様にそれぞれの部屋から出入り出来るように作られていたり、一日中座っている方の為に運動できるスペース等、ご家族の負担が少しでも軽くなるように沢山の配慮がなされていました。現在、近隣の高度医療機関に入院中のお子さんのご家族の滞在施設として運営されています。
 小児がんや難病になっても、こどもらしく、家族らしくあたりまえの生活をと過ごしてほしいという想いから生まれた施設です。
 ハウスの中には、沢山の「想いの温かさ」がありました。ハウスにいるだけで、建物全体に抱きしめられている様な、「頑張れ」と応援してくれている様な気持ちになる場所でした。

お弁当を運び入れる


届けたお弁当
                             

 そんなご家族に少しでも食事という形で支援出来たらという想いで、宝塚ホテルのシェフたちが業務の合間にお弁当にお料理を詰めて、ホテルを出発。お渡しする時にはお料理の説明と、温め方をお伝えします。温かいものは温かく、冷たいものは冷たく。食べる直前まで細心の気遣いを…やはり料理のプロです。
 コロナ禍でホテルは苦境に立ち人員不足が続きました。このような時期になぜ自分たちが活動を続けるのか…従業員からの悩ましい声があったそうです。何度も何度もメニューを考え、安全に配慮する為の工程を踏んでいく事は、通常業務にプラスになり、負担が来てしまいます。そこでSDGs推進部は、社会貢献活動を「自分事」にしてもらうための工夫として、お弁当を食べた後の施設滞在者やスタッフの皆様からのお礼のメッセージを従業員に共有しました。厨房で黙々とお料理を作っているシェフにとって「美味しかった」という生の声を聞く事は少ないのです。利用者様からの嬉しいの「声」は同時に、入院治療に付き添うことの大変さを表す苦しいの「声」でもありました。その「声」がシェフの心を次第に「他人事」から「自分事」へと動かし、この活動が継続出来ています。
 ホテルの人間は「相手を喜ばせたい」人の集まりです。マニュアルにはない相手を「喜ばせたい」という真心。シェフにとって「美味しかった」は最上の喜びであり原動力です。

「3:すべての人に健康と福祉を」 
「10:人や国の不平等をなくそう」

この活動は2つの課題解決の貢献に繋がります。「持続可能」にする為に少しずつ意識改革が必要です。我々が住む地球と言う「家」の為に今出来る事。今日から始めませんか?

すーさん

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?