見出し画像

世代論1 新人類

2015年5月19日  facebook投稿
·
世代論です。

朝日に社会学者の見田宗介さんのインタビューが掲載され、「成長はもういらない」という内容で話題を呼んでいますが、さらに別の意味で論争(というほどではないですがw)になっているのが、朝日の記者が併用表でつくった世代ごとの年齢層です。

一番の問題は「新人類」を「1954〜68年生まれ」としている点です。あたしは68年生まれですが、自分を新人類世代と考えたことは一度もありません。「一緒にするな!」という気持ちを込めて、絶対に新人類ではないと思います(笑)

あたしたちの世代は、「新人類」というのは、朝日ジャーナルの筑紫哲也さんのインタビュー連載「新人類の旗手たち」(86年)に登場した人だという認識があります。

今でも知られている人をあげますと、中森明夫さん(60年)、泉麻人さん(56年)、秋元康さん(56年)、石橋貴明さん(61年)などで、60年代初頭生まれまでだと思っていました。連載には清原和博さん(67年)などもいますが、スポーツ選手や芸能人は10代から活躍していますので例外と考えていました。

そもそも新人類の象徴的人物・オピニオンリーダーは浅田彰さん(57年)、田中康夫さん(56年)なので、あたしたちは世代的には距離感を持っています。

どうして朝日が54〜68年という長い期間を新人類としたのかを調べてみますと、どうやら、いまの一般の「マーケティング理論」の分類をもとにしているようです。

日本マーケティング研究所がまとめた表が以下のPDFにあります。
http://www.jmrlsi.co.jp/.../consumption/hakusho2006sp_10.pdf

驚いたことに、「新人類」は1961〜70年生まれです。浅田彰さんも田中康夫さんも新人類に入りません。

どういうことかというと、「新人類」という言葉は90年代以降は死語化して、文化的な文脈では一気に語られることが少なくなりました。

かろうじて「どういう消費をするのか」という論点としてマーケティングの世界に生き残り、消費性向で考えると、この世代が新人類的消費をするとみなされたようです。同研究所が定義付けた消費性向は以下の通りです。

新人類世代
「消費の個人化、差別化が進む。青春期にバブルを体験。最初のメディア消費世代。インポートブランドブーム、共通一次。ポパイ、ホットドック」

一方、あたしたちが新人類のコアと考えていた51〜60年生まれは「断層世代」と名付けられています。その消費性向は以下の通りです。

断層世代
「団塊と新人類にはさまれた元祖オタク世代。高度経済成長期に育つ、経済世代。大阪万博、オイルショック、カラオケブーム」

まとめると「メディア消費」なるものの先鞭は断層世代がつけ、それを受けて消費の個人化、差別化が一般化したのが新人類世代ということらしいです。文化が先で経済があとからついてきたというイメージでしょうか。

朝日は、マーケティングの分類より若干上に世代を設定しています。文化的実感と経済的現実の折り合いを付けたという定義かもしれません。

ただ、やはり、強調したいというか、むかついているのですが、あたしたち60年代後半生まれは、インポートブランドを買うにはまだ子供でしたし、
共通一次じゃなくてセンター試験になっていましたし、ポパイとホットドックは2誌のあいだに若干の世代差がありますし、学生時代の途中でバブル経済は実質的には終わっていましたし、社会人ではバブルの恩恵をまったく受けなかった最初の世代ですし、一緒にしないでくれと怨嗟を込めて申し上げます(笑)

いまの50歳を出たぐらいの、古い定義上の新人類が、軽薄でどこか斜めに世の中をながめていて、趣味に走って腹をくくった社会意識がなく、団塊に代わっていまの日本をダメにしているという仮想的意識を持っているので、気になりました(くどいですがw)

でもマーケティングから見ると「財布の動き」が一番なんですね。見田宗介先生の「お金使わないで幸福になることを考えなさい」というのはその意味で本質的な議論ですね〜。
(*担当者注 ここに記事URLが掲載されていましたが、既に無効だったので省略)

細かくて、しょーもない話ですが(笑)、若い世代に伝えておきたいのは、「バブル世代」というのは、社会人として、会社の経費を使い放題とか、会社に余裕があったので新人でも適当な大きな仕事をさせてもらったりとかということを経験したかどうかで線引きして見てもらいたいということです。

1993年から就職は買い手市場に代わります。93年入社以降はバブル世代ではなく、バブル的会社員のイニシエーションは受けていません(あたしは92年入社ですが、地方支局からですから、大目に見てくださいw)。
20数年たっても、感覚の違いは感じますよ〜。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?