散発三安打
昭和に少年時代を過ごしたら、散発三安打の完封という意味がわかる。
幼い頃、髪の毛は母親が切っていた。
玄関の土間、庭などで。
本当に嫌な時間だった。
そのせいでぼくは髪の毛を切るのが嫌いになったと思っていた。
終わらない旅
いつまで経っても、幾つになっても、ぼくは行きつけの散髪屋が見つからない。
美容院でも理容院でもいい。
ただ髪の毛を切ってさっぱりできれば良い。
特別に拘った髪型があるわけでもない。
リモートワークになった今では、もう坊主でもいいのかとも思ったが、
坊主頭はより手入れが頻繁に必要になるのでやめた。
なぜ髪の毛を切るのが面倒なのか。
答えは一つ、「切られている間にすることがないから」だ。
そんな話を妻にしたら、「スマホ見てればいいじゃない」と言われたのです。
ああ、盲点。
昨今ではみんないつでもどこでもスマホを見ている。
そうか髪の毛を切っている間もそうすればいいのか。
蜘蛛の糸
これは本当に大袈裟な話ではなく、ぼくにとっては蜘蛛の糸のようなものでした。
ああ、助からないと思っていたら、一筋の蜘蛛の糸が垂れてきたように感じたのです。
妻の意見だけでは心もとないので、信頼のおける高校からの友人にも確認してみました。
確かにほとんどの人がスマホを見ているとのこと。
なんだ、みんなやっている自然なことだったんだね。
スマホには全てがある。
ゲームもできれば、動画も見れる、ただこの辺は美容師に突っ込まれる危険性が高い。
そうだ、スマホならKindleとか入れておけば好きな本も読める。
これなら無駄な会話も必要ない、本を読んでいればいいのだから。
切った髪の毛も本と違って挟まったりしないし。
意気揚々と、読んでいなかった小説をKindleにダウンロード。
これで音楽も一緒に聴けるとより良いのだけどね。
終わらない旅、本当に終わらない
いざ近所の比較的気軽に行けるようになってきた理容室に行きます。
座席に座りスマホを出したところで、
「メガネ、お預かりします。」と言われ、愕然としました。
ああ、愚かだった。
メガネ外したらスマホ見れないよね。
長い旅になりそうだぜ・・・。
サポートをしていただけたら、あなたはサポーター。 そんな日が来るとは思わずにいた。 終わらないPsychedelic Dreamが明けるかもしれません。