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The Bluestars / The Bluestars

これもSpotifyがお勧めしてくれたアルバムです。
なんかビートルズのアルバムを模したようなジャケットだけど、かなり手軽に写真を撮っているというのがポイントですね。

実はThe Bluethingsだと思って、USガレージと当て込んで聴いていたんですよ。

The Bluestars

The Bluestarsはニュージーランドのオークランドのバンド。
1962年に地元の記者だった John Harrisさんが中古楽器店であった仲間と結成します。
当初はNomadsと名乗っていたものの、The Bluestarsに改名して1963年には教会のホールなどで演奏していたようです。

転機となったのは、メンバーのSavidanさんが持ってきたビートルズの"Please, Please Me"のLPでした。
メンバーはみな興味を持ち、その日から従来の楽曲をやめてビートルズのカバーを練習するようになります。

ほら、Please, Please Meっぽい写真でしょ?

1964年初頭、彼らはZodiac Recordsと契約すべく奔走しデモの録音まで行ったものの、リリースまでには至らず。

1965年に俳優のTerry Haymanという人がバンドのマネージャーに名乗り出てきます。
この人がなぜがDeccaと契約できるというので、レコーディングスタジオで2曲のデモを録音します。
すると、この時の"Please Be a Little Kind"と"I Can't Take It"が本当にDeccaからリリースされることになりました。
うーん、怪しい話。
これがDeccaと契約した初めてニュージーランドのバンドとなったそうです。
このシングルはオークランドでは12位になったとか。二塁打くらいの感じでしょうか。
その後録音した曲はDeccaからリリースを拒否されたそうで、残念ながら。

心機一転、今度はAllied International Recordsというところと契約します。
ここでリリースしたのが有名な"Social End Product"です。

Social End Product

Social End Product、これはまさにキラーソング。

冒頭の "I Carry my girl through the main city streets "は、
リード・ギタリストのJohn Harrisがガールフレンドと喧嘩した際に、彼が彼女をオークランドのダウンタウンで "kicking and screaming "しながら運んだという実際の事件に基づいています。
最高なクズですね。

そしてその後の歌詞"I don't stand for the Queen"は、映画の上映などの公的なイベントの前に「God Save the Queen」を歌うために起立するという当時の慣習を揶揄したもので、
これは王政や社会的抑圧を批判するもので、後の1970年代のパンクを彷彿とさせるものでした。
国歌斉唱で起立しないということですね。学校の先生なら新聞に載るやつです。

当初はそんな歌詞はよくわからず、こういうバックグラウンドも当然知らず、ただこの曲いいなと思っていたんです。
何か底知れぬパワーがある曲、USガレージだと思っていたので、テキサスのゴリゴリなガレージバンドを想像していました。保守の土壌が生んだ狂気のエナジー溢れる曲と感じたのです。
しかしながら、この曲も商業的にはヒットにつながりませんでした。

1966年後半にはメンバーチェンジがあり、そのタイミングでオルガンを入れたスタイルへと変更します。そして1967年に最後のシングルをリリースしますが、こちらもヒットせず、解散となってしまいます。
最後のシングル"I'm a Little Man"のカップリング"Sherlock Sweet"は微妙な力量のオルガンを前面に出したチープすぎる名曲でした。これはこれで嫌いじゃない。でも67年の音じゃないよね。ティーンエイジガレージバンドの曲って感じです。

The Bluestars / The Bluestars

気になる曲

Social End Product
ファズ、ズンドコドラム、主張する若者という曲です。
エネルギー溢れる曲で、もはやエネルギーしかありません。
ウォッカのエナジードリンク割みたいなやつですね。

イントロのファズギターで、数多の若者が狂喜乱舞したとかしないとか。これだけ聴いたら間違いなくテキサスだと思ってもしょうがない、そんな曲です。

Sherlock Sweet
オルガン、チープというか演奏も甘い・・・。
これはオルガンを入れたことが裏目にでている気がしますが、時代を超えると名曲になるのかもしれません。
67年の作品ではありますが、2021年に聴くと・・・、まだ少し早いかな。

The Bluestarsはその活動期間に反してリリースされたのはシングル3枚のみというのは少し寂しい結果でしたが、
Social End Productはみんなの心に刺さる名曲となったはずです。

音源

前述のSpotifyで一通りのリリースは聴けます。

あと気づいたら"Social End Product"はNuggets IIやUgly Thingsにも収録されていました。

サポートをしていただけたら、あなたはサポーター。 そんな日が来るとは思わずにいた。 終わらないPsychedelic Dreamが明けるかもしれません。