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ぴえん充電(毎週ショートショートnote)

「番組タイトルはこうです。
ぴえん充電させてください!
看板は、人気タレントの入海いるみトチローさんです」

僕は今、企画会議で春の新番組のプレゼンを行っている。
重役達は、皆渋い顔。テレビ離れが叫ばれて久しい昨今、視聴率は業界の死活問題なのだ。
しかし、臆してはいけない。僕は意気込んでスライドを切り替えた。

「入海さんには、バイクで全国を回ってもらい、出会った人に、最近あった『ぴえん』なエピソードを紹介してもらいます。入海さんはフランクで温かいお人柄、そのコメントは、人々の癒やしとなるでしょう。この番組は『ぴえん』を通して元気を『充電』してもらう人情バラエティなのです」

「しかしね、君。『ぴえん』が流行ったのは十年も前のことだ。ちょっと古すぎるよ」
「えっ? そうですか?」

同年代の友人達の間では、今も頻繁に使われている『ぴえん』。まさか、死語とは。
ジェネレーションギャップ。僕はもはや「若者」ではないということか。

これぞまさに『ぴえん』。


トップ画像出典∶photoAC

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4/10~4/16のお題は「ぴえん充電」。