#178行動科学と投資
市場心理の専門家であるダニエルクロスビーによる本書は、自分の考えや戦略を徹底的に検証すること、自分は常に間違えうるというベースで判断を繰り返し冷静な目で振り返り改善することを進める。バリューとトレンドプレミアムの存在も同時に市場に参加者がいることから発生するのである。
生き抜くためにこれからも徹底的な調査とチームでの投資活動を進めていきたい。
・社会通念を信じることが人をヒトたらしめているが、投資で勝つためにはそれをしないことを学ばなければならない。
・脳がリスクとリワードを解析するために設計された原始的な構造のまま、それまでとは全く異なる仕事をさせられている。感情は判断の効率化のためにもたらされたものである。
・人はもともと行動するようにできているが、市場では行動しない方が報われる傾向がある。
・報酬を予感してドーパミンが放出されると私たちは注意散漫になり、規律を守れなくなる。成功した時の方が失敗に繋がることがあるのである。
・体は私たちの思いとは裏腹に、恐れを抱え込み、最悪のタイミングで解き放つようになっている。
・不確実性を受け入れ、人間の可謬性を受け入れることができれば、大いに優位に立てる。
・間違えを積極的に探すことが結果として良い成果に繋がる。その過程での苦痛を乗り越える術を学ぶ必要がある。
・人間は日々3万5千回の意思決定をしている。情報処理の中でエネルギーを消費しないようにするために我々は現状維持を決め込んでしまう性質がある。
・本当に優れた価値のある情報は、数学や複雑な考えを使って表現されているため理解することが難しい。
・市場が成立するためには、ノイズトレーダーが必要である。
・感情処理によって人は長い間生き延びることができた。直感や本能や第六感がその動物は完全に捕獲できるか、水を飲んで良いか等を教えてくれる。生死につながる状況での素早い判断では感情は必要だが、投資という世界においては必要にならないことが多いことを学ぶ必要がある。
・分散投資といっても、十分に見識があり評価ができる5-10社に絞るべき。
・鬱病が進化的な観点から無くならなかった理由は、悪い問題を頭の中で深く何度も考えることで、将来役に立つ解決策に辿り着くためのものだからという結論。今の苦しみは将来大いに役に立つかもしれないのである。
・スキルに基づいたゲームで勝つためには、練習が必要だ。運の要素が左右する場合には、一連のルールに従うことで、繰り返し勝つことができるのである。優れたルールに従えば素晴らしいリターンをあげることができるのである。
・バリュープレミアムとトレンドプレミアムは、完全に効率的な市場にならない限り、市場は再帰的であるために、存在し続けることになる。
・市場は完全に効率的ではないと同時に、常に効率性に向かって動いているのである。