#221 ヘッジファンド 投資家たちの野望と興亡 I

ヘッジファンドの歴史は、学者の市場感と戦ってきた歴史でもある。1960年代のアメリカは戦後の安定的経済成長をしてきたために効率的市場仮説が広く支持されていたが、銘柄選択、人々の行動、規定上の行動バイアスなどを用いて戦ってきた歴史であるということを伝えてくれる本書。直接的に戦略に活かせるものはないが、アイデアや自分の進むべき方向を再検討する上では非常にためになる本。IIも読みたい。

・市場の流動性は完璧ではないし、投資家の合理性も完璧ではない。

・AWジョーンズが初めてヘッジファンドとというビジネスモデルを確立した。それまでは受託者として知られる仕事が資金管理をメインに行なっていた。

・ジョーンズは、経済データを調べて株価動向を判断するのは古い方法で、投資家の心情が株価のトレンドを形作ると考えていた。

・銘柄のベロシティという概念を導入し、ヘッジ比率をうまく組み合わせた

・ブローカーからのアイデアをトラックしてそれに応じて利益を分配する方法を考えたのはジョーンズ

・運用資本を運用状況に応じて変化させる枠組みもこの時に作られた。

・70~80年代においては、ブロックトレードで大口の取引を捌けることがエッジとなり、逆側の参加者情報なども仕入れることができトレードをすることが有意に作用する状態が作られた。

・チャートとファンダメンタルの融合をよく知る必要がある。一つの個別モデルではなく、一般的に当てはまる取引スタイルを確立することを目指したのがコモディティコーポレーション。

・学術的な大発見よりも、ささやかな試行錯誤こそがイノベーションの原動力であることが多い。

・ファンダメンタルな情報がない時こそ最大の利益を上げるチャンス。価格が情報もなく動いているのであればインサイダーが何かを掴んでいる可能性があるからである。

・ソロスは利益の動向にも投資家心理にも着目せず、人々は現実を正確に把握することはできないが、それに加え現実そのものがこの不正確な認識を変化させる、という両者間のフィードバックループに焦点を合わせた。

・情勢の変化を感じ取ると、ソロスは躊躇なく投資した。

・投資が先、調査はあとが彼のモットー。

・ある出来事の中、自分以外のトレーダーがどのように反応するかを自問する必要がある。大手の参加者がどれくらいの規模を買っているかなどを検討する。

・ブラックマンデーの時に、FRBがどのように行動をするかを予想することができれば、債券相場は高騰する。また、FRBが何もしなかったとしても、相場が下がる理由はない。(リスク資産からの逃避があるから。)

・心理状の要因と制度的な要因はたまに融合することがある。税制上どうしたいかといった行動背景がそこにはある。

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