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『資本論』を自分なりに読みやすくリライトしていく試み8 -使用価値と価値の関係をもう一度

資本論
第1部 資本の生産過程
第1篇 商品と貨幣
第1章 商品

第3節 価値の形態または交換価値3/5 

前の記事:第3節 価値の形態または交換価値2/5

<第3節の目次>

第3節 価値の形態または交換価値
  A. 基本的または偶発的な価値の形態
   1. 価値表現の両極―相対的価値形態と等価形態
   2. 相対的価値形態
     (a.)性質と重要性
     (b.)相対的価値形態の定量的決定
   3.等価形態
   4.全体的に考えてみる価値の基本形態
  B. 全体的または拡大された価値形態
   1. 拡張された相対的価値形態
   2. 特別の等価形態
           3. 全体的または拡大された価値形態の欠陥
  C. 価値の一般的な形態
   1. 価値形態の変化した性質
   2.相対的価値形態と等価形態の相互依存的な発展
   3.一般的な価値形態から貨幣形態への移行
  D. 貨幣の形態

※第3節は複雑に分けられています。今回は、3-A-4を読んでいきます

商品の価値形態は、異なる種類の商品との価値関係、または同じ商品との交換関係を表現した等式に含まれます。

商品A(リンネル)=商品B(上着)

商品 Aの「価値」は、
質的(定性的)には、商品 Bと直接交換できるという事実によって表現され、
量的(定量的)には、一定量の商品Bが一定量の商品Aと交換可能であるという事実によって表現されます。
言い換えれば、商品の「価値」は交換価値の形をとることで明確に表現されます。

この章の冒頭で、商品は使用価値でもあり交換価値でもあると述べましたが、正確に言えばそれは間違っていました。

(商品は、まず「使用価値」という実際の役立つ性質を持ち、そして「価値」というものも持っています。商品は、この2つの側面を持っていることが肝心です。
商品は私たちが何かしら役に立つものとして見ることができます。例えば、服は寒さから身を守るために使えるし、食べ物は飢えを満たすのに使えます。これが「使用価値」です。
一方、商品には「価値」もあります。この価値は、商品が他の商品と交換できる形(交換価値)として表れます。)

商品の価値や交換価値は、他の異なる種類の商品と関連づけられたり、交換関係に入れられたりすると、はっきりと分かります。
しかし、商品が単独で存在し、他の商品との関係がない場合は、価値や交換価値は明確にはなりません。つまり、商品は他の商品との関係や交換においてその真の価値を示すのです。

こうした認識があれば、誤りとした上記の表現方法は略語として何の害もなく機能するでしょう。

◇◇
私たちは、商品の価値がどのように表現されるかを調べました。
商品の価値形態や表現が、価値の本質に起因し、価値とその大きさが交換価値としての表現の方法から生じるのではなく、価値そのものから生じることを明らかにしました。

(上記の補足)商品の価値は、その生産に要する労働時間と密接に関連しています。ゆえに価値そのものは商品が持つ内在的な特性であり、商品の存在自体に関連付けられています。
一方、価値とその大きさは、価値が交換価値として表現される際に、他の商品との交換により表現されます。
つまり、価値は商品自体の属性であり、価値そのものが存在するからこそ、価値を表現するための交換価値が生まれるということです。その逆はあり得ません。(先に交換価値があるわけではありません。)

(しかし、多くの人々がこの点に妄想を持っています。)
たとえば重商主義者(昔の商人)は、価値の表現の質的側面に焦点を当て、特に商品の等価形態を強調し、それが貨幣において完全に具現化されると考えています。一方、自由貿易者は、相対的な価値形態の量的側面に重点を置いており、価値は商品の交換関係における表現に過ぎないと考えています。彼らは価値が価格のリストでの表現を通じてのみ存在すると主張しています。こうしたものは混乱した思考と言えます。

◇◇
商品A(リンネル)=商品B(上着)
この等式の中に含まれる、
Bから見たAの価値の表現の詳細は、
Aの物体としての形(リンネル)はただ使用価値を表しており、
Bの物体としての形(上着)は単に価値の形態や姿態を表していると示しています。

どのような商品の中にも存在する「使用価値」と「価値」は、このような関係に置くことで、明らかになります。
価値を表示しようとする商品はただ使用価値を提示し、価値を表示された商品は交換価値を提示します。ここで見てきた商品の初歩的な価値形態では、「使用価値」と「価値」、という対照的な性質のものが、商品の中に含まれているということがはっきりしました。

◇◇
どのような社会においても、あらゆる労働生産物は使用価値です。
しかし、その物品が「商品」として扱われるのは、社会の発展の特定の歴史的段階においてのみです。つまり、役に立つ物品の生産に費やされた労働がその物品の客観的な特性の一つとして表れるようになり、それが物品の「価値」として表現される時点で、その物品は商品として扱われるようになります。

したがって、初歩的な価値形態は、労働によって生産された物品が商品として現れた原始的な形態であり、物品が商品に変わる過程は、価値形態の発展と同時に進行していきます。

一見すると、初歩的な価値形態には、すぐに欠陥があることに気づきます。
けれどそれは萌芽にすぎず、(商品が価格を持つ形態に)成熟するためには一連の変態を経る必要があります。

◇◇
「商品A(リンネル)の価値を他の任意の商品B(上着)の観点で表現すること」について説明します。
ここでは、商品Aの価値をその使用価値と区別しています。
これは単に商品Aを商品Bとの交換関係に置いているだけに過ぎず、これによって商品Aの「質的な等価性」と「数量的な比例性」を、すべての商品に対して表現するのはまだ遠い話です。

商品の初歩的な相対的価値形態は、一つの他の商品との、単一の等価形態を示すだけです。上着は一つの商品であるリンネルに対してのみ、等価物の形式を取り、または直接交換可能であると見なされます。

初歩的な価値形態は比較的容易に、より完全な形態に移行します。
商品Aの価値が「他の商品」で表現されることは確かですが、「他の商品」は上着、鉄、小麦、または他の何かであるかもしれません。しかしそれはまったくどうでもよいことです。
商品Aが他の商品との関係に配置されるに従って、商品Aの価値は、さまざまな他の商品との関係を通じて表現されます。その数は、商品Aと異なる商品種類の数によって制限されるだけです。(つまり制限はありません)

つづく

次の記事: 第3節 価値の形態または交換価値4/5

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