中国、日本人ビザ免除を正式発表 - 倍増する滞在期間の意味
先日のAPECで印象的な場面がありました。習近平国家主席と石破首相の握手です。これまでの日本の首相との会見で見せていた苦虫を噛み潰したような表情とは打って変わり、習主席は柔和な笑顔を見せていました。そしてその直後、日本人の短期滞在ビザ免除措置の正式発表がありました。
注目すべき30日という期間
今回の措置で特に目を引くのは、滞在可能期間が従来の15日から30日へと倍増している点です。この変更は単なる数字の違い以上の意味を持っています。
15日の滞在期間は、一般的な観光やビジネス出張には十分でした。しかし30日となると、より長期的なビジネス展開や、中国各地を巡る長期旅行、さらには文化交流や学術交流などにも対応できる期間となります。中国側のより踏み込んだ関係改善への意欲が感じられます。
地政学的な文脈
この一連の動きの背景には、アメリカの政治情勢が大きく影響していると考えられます。トランプ氏の次期大統領就任が視野に入る中、中国としては少なくとも日本とは一定の関係性を保っておきたいという思惑が透けて見えます。
そのような中での滞在期間の倍増は、より実質的な人的交流を促進したいという中国側の意図を示唆しているのかもしれません。
期限付き再開の含意
実施期間は2024年11月30日から2025年12月31日までの期限付きです。日本を含む9カ国を対象としています。
この「期限付き」という選択には、中国政府の慎重な姿勢が表れています。しかし同時に、30日という寛容な滞在期間と合わせて考えると、この1年強の期間で具体的な成果を出したいという積極的な意図も読み取れます。
大湾区におけるビジネスチャンス
香港在住者にとって、この30日という期間は新たな可能性を開きます。例えば:
深圳でのビジネス展開により余裕を持って取り組める
広東省の工場との長期的な技術協力がしやすくなる
文化交流イベントの企画運営が容易になる
観光業界の期待と現実
中国の観光業界、特に上海や四川省の旅行会社からは、早くも歓迎の声が上がっています。30日の滞在が可能になることで、より深い中国体験を提供できるとの期待が高まっています。
ただし、近年の中国での邦人に対する無差別殺傷事件の発生を受け、観光目的での渡航については依然として慎重な見方も残ります。
外交と実務の交差点
APECでの笑顔の握手から、寛容な滞在期間の設定まで。これら一連の動きは、中国の対日関係改善への本気度を示しているようにも見えます。国際情勢が不透明さを増す中、お互いにより実質的な関係を構築することの重要性を、両国が認識し始めているのかもしれません。
香港在住者の視点
香港在住の日本人として、30日という期間は確かな可能性を感じさせます。ビジネスの展開により余裕を持って取り組めることは、確実にプラスとなるでしょう。
この1年間で日中関係が改善するのか、あるいは遅々として進まないのか、興味を持って見ていきたいと思います。
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