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読書記録6:『図解でよくわかる 土・肥料の基本』

というほどに前回までと内容が違っていますが、読んだものの記録をとったらこうなったのだから仕方がありません。
諸般の事情で、職場において植物の育成に関わることにして、土と肥料について勉強を始めたのだから仕方がありません。
小さいころから好奇心がそこそこ強く、いろんなものの仕組みを知りたがってやりたがってしているので、こればかりはもう仕方がありません。

で、読んでみたら面白いのだから困ったものです。科学も何もない時代の農民たちが感覚的に捉えていたことが、科学で説明するととにかく難解なのです。逆に言うと、科学で説明されると難解なことが、農民の感覚的な捉え方だとよくわかるのです。

「よい土壌」を科学的に説明すると、物理的には作物の根を支えつつ適度な保水性と排水性を伴う団粒構造を豊かに持ち、化学的には肥料分が適切に豊富であるとともに、イオン化した各肥料分を引き付ける陽イオン交換容量が適切であること、生物的には土壌有機物が多く、土壌微生物の活性が高いこと、ということになります。

これを農民的に説明すると「黒くてふかふかした肥もちの良い土」です。基本的にはこれで足りていたわけです。経験則すげぇ。

数千年の営みで経験的に獲得された感覚を、何の経験もなくても(複雑だけど)追いつけるのが科学の力だとも言えます。同時に、あらゆることをパラメータとして分解していくのが科学であるため、(複雑だけど)要素ごとに調整することで、物事を改良することが可能にもなるわけです。

科学の言葉を経験の言葉に変換するのは、容易ではなさそうです。なんだよこの「指の感触」。


経験的に「葉肥」=窒素 「花肥」=リン酸 「根肥」=カリウムであるわけですが、ホームセンターとかで売られている肥料がこの3点ばかりを強調し、結果カルシウム・マグネシウムの欠乏(カリウムと拮抗する)がありうるということ、この本読むまであまり考えていませんでした。また、日本の土壌に多く含まれているため注目されてこなかった硫黄分が、近年化学肥料による土壌改良が進みすぎて、かえって不足しているという記述は、営農人口が減る状況での土づくりが、かつての農村のそれとは変質しうることを想像させるものでした。

また、土の状況を確認する方法の1つが「生えている雑草を見る」ことである点は目から鱗でした。「この雑草がこのサイズで育つということは、土がやせている証拠だ」というような話。
植物を見てその名がわかる程度でいうと、もはや小学生にすら劣るであろう現代の大人になってしまった私です。土と科学と植物とに同時並行で詳しくなっていかないといけない。土づくりの道に足を突っ込むのは、なかなか高いハードルになりそうです。

って思ってたら、「土壌医検定」なんてあるのですね。土壌に関する知識と土づくり・作物の生育・収量・品質の関係等の知識を問い、土づくりに適正な指導を持つ人を育成するための検定試験、だそうで。3級・2級・1級と上がっていき、資格名(称号?)が土づくりアドバイザー→土づくりマスター→土壌医と上がっていくという。2級まではマークシートで取れると。

過去問があった。

問1.リン酸吸収係数の記述の中で、間違っているものはどれか。次の中から一つ選びなさい。
①黒ボク土は、リン酸吸収係数が大きい。
②リン酸吸収係数が大きい土壌では、作物がリン酸を吸収しにくい。
③リン酸吸収係数が大きい土壌では、作物がリン酸を吸収しやすい。

…頑張ればいける気がする。たぶん答えは3。

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