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周りを傷つけているあなたへ

大宮エリー「思いを伝えるということ」文春文庫より

周りを傷つけているひとがいた
周りは傷つき、悩んでいた
周りはそのひとに怯え、
腫れ物に触るようにした
本当のことを言わなくなった

周りを傷つけているひとがいた
私を愛してと
どうして愛さないんだと
どうして他を選ぶんだと
わめき散らすひとがいた


大丈夫だよ
もう大丈夫だよ
暴れなくていい
もう他人を傷つけなくていいよ
だって知ってるもの
あなたが一番傷ついているんだから
あなたが一番あなたを
嫌っているんだから
あなたがあなたを
一番傷つけている

哀しい
私はそんなあなたが哀しい
あなたがあなたを嫌っている
そんな哀しいことはない
見ていられないんです

大丈夫だよ
もう暴れなくていいよ
私はあなたに
ゆっくりと近づいていくから

私をぶってもいい
傷つけたっていい
私はそんなことでは
怯えたりしないし
怖がったりしないから
腫れ物扱いになんかしないから
傷つくことなんて平気

だって
放っておけないから
放っておかないと決めたから
決めたから
誰よりも傷ついたあなたを
放っておけないんです
誰よりも自分を傷つけているあなたを
そのままになんかできない
それを止めたいんです






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