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出戻りデザイナー、マネージャーになる。

この記事は、CYBOZU SUMMER BLOG FES '24 (Design Stage) DAY 10の記事です。

サイボウズでkintoneのデザイン責任者兼プロダクトデザイナーのマネージャーをやっている樋田です。

この記事ではデザイナーがマネージャーになった経緯、その苦労と魅力について書きます。 デザイナーがマネジメントに興味を持つきっかけになれば嬉しいです。

サイボウズを辞めてから戻ってくるまで

私は2016年に中途採用でサイボウズにプロダクトデザイナーとして入社し、2021年の夏に一度退職しました。特に大きな問題があったわけではなく、もっと小さな組織でデザインチームを作りたいという思いがあったからです。当時、kintoneのデザイナーはすでに複数人おり、自分がいなくてもなんとかなるだろうと考えていました(ネタバレ:なりませんでした)。

それから2年後、諸事情あって再び転職を考えることになりました。
すでにいくつかオファーをいただき、悩んでいたところに、当時kintoneのプロダクトデザイン組織を引っ張っていたsakitoさんから連絡が。

sakitoさん「完全個室の居酒屋予約したんで、一度話しましょう!」

今でも忘れません。とある土砂降りの夜、待ち合わせのお店に向かうと、そこにはお店を探して電話をかけまくるteppeisさん(※開発本部長)の姿が……。

sakitoさん「完全個室って書いてあったんですけど、騙されました…..」

東京ですからね、そういうこともあります。
お店探しは諦め、デパ地下で買ったお惣菜と共にサイボウズのオフィスに連れ込まれた私は、今のプロダクトデザイン組織が抱える課題、将来の展望、自分が去ったあといかに大変だったかを聞きました。
まだ自分のやるべきことがたくさんあるという喜び、かつての同僚たちともう一度働いてみたいという期待、なんとかなると思ってたことがなんともなってなかったという罪悪感、その他諸々いろんな思いが駆け巡った結果、気づけば再びサイボウズに戻ることを決めていました。

サイボウズのオフィスにあるイベントスペースにお惣菜を広げた様子
当時の様子です

sakitoさんが非常に苦労した結果、立ち直りつつあったデザイナーチームは、メンバー全員が入社1年未満。かつてのメンバーはみんな違うチームへ旅立ったあとでした。つまり、全員初対面。 はじめまして!!!
急に戻ってきて、kintoneに詳しいので色々任せてください、なんてすごく嫌じゃないかな……と思ったのですが、みなさん空のように心が広く、出戻りのわたしを受け入れ、頼ってくれました。
そうして2024年から正式にマネージャーとしてsakitoさんからチームを引き継ぐことになったのでした。

マネージャー、簡単じゃない!

バリバリ手を動かしていたデザイナーから、2年余りの時を経てマネジメントをやることになった私。ここで「マネジメントって嫌がる人も多いけど、全然そんなことなかったですよ!」と言いたいところですが、現実は厳しいものでした。マネージャーとしての半年ちょっとで、想像を超える量の問題に直面し、日々悩みながら様々な調整を行い、スケジュールは増え続け、一方でFigmaを触る時間は激減しました。

特に面白かったのは、マネージャーになる前は少しも共感できなかった「出社を強制したい人たち」の気持ちが、マネージャーになった途端に「わかる!!!!」となったことです。多様な環境を許容することが、いかにマネジメントコストのかかることかを理解しました。

それでもマネージャーになってよかったと思うわけ

苦労も多い一方で、「マネージャーなんてやらなきゃよかった」とは一度も思っていません。これは私が苦労好きだからというわけではなく、直面する問題たちも自分がこの立場を選ばなければ向き合うこともできなかった問題だからです。そして、様々な問題を解決した先に見える成長の機会も、この立場に立つことで見えてきます。

また、立場が変わったことでデザインに対する視点も変わりました。マネージャーになったからといってデザインのことを考えなくなるわけではありません。上位の目標との接続やコストパフォーマンスといった観点から、より広い視点でデザインを考えるようになり、それがデザイナーとしての自分を鍛えてくれている実感があります。

まだまだこの立場について日は浅いですが、今後はより力の使い方を理解し、「デザイン」をもっと広く活用できるようになれば、まだ見えていない景色も見えてくるはずだと信じています。

本質に向き合えるプロダクトデザインチームでありたい

kintoneは業務アプリを作ることができるノーコード・ローコードツールであり、その製品の性質上、多様性を内包しています。特定のユースケースを解決するのではなく、ユーザーの工夫次第で製品の可能性が無限に広がるからです。そんな製品をデザインするためには、チームも多様である必要があります。様々な経験、スキル、価値観、得意・不得意が集まることで、幅広い検討の観点をカバーし、真に価値のあるデザインに繋がるはずです。自分が10人いるよりも、はるかに高い成果を発揮できるチームを目指しています。

また、kintoneは小手先のテクニックだけではデザインできない難しい製品です。それゆえに、デザインが簡単に終わることは少なく、デザイナーが苦労する場面が多々あります。数々のプロダクトを渡り歩いてきたチームのベテランも「今までにない難しさ」と漏らすほどです。
しかし、その難しさがkintoneの製品としての強みであり、その難しさに向き合い続けることがkintoneの価値を高める結果になるのです。
デザインのテクニックやプロセスを磨くだけでなく、抽象と具象を何度も行き来しながら、解決すべき課題を捉え直し、素早く試行錯誤する。そうした粘り強く本質に迫る強さを持ったチームを作りたいと思っています。(こうした困難さにしっかり向き合うことができるのも、kintoneのデザインにおける魅力の一つです ※採用アピール)

これを読んで、マネージャーに限らずkintoneのデザインに自分もチャレンジしてみたい、向き合いたい!と思った方はぜひ以下のリンクからカジュアル面談を申し込んでみてください。


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