見出し画像

たまごごはんの無職生活 その5-キャリアマップとは

 キャリアマップというとなんだか偉そうだ。だがしかしなんのことはない、自分に合った仕事とはどんなもんなかのを自分で分析する作業ともいえる。しかしそのためには自分のこれまでのキャリアを把握せねばならない。ちなみにこの場合は日本でいうキャリアマップとは違うみたい。マインドマッピングのキャリア版といえばわかりやすいかもしれない。

 ロンドンでの職歴、しかも非日系での職歴が大半を占めるようになって随分経つので感覚が違うなぁと思われるかもしれない。それはそれで面白いと思っていただければ幸いだが、一番最初の職歴が東京の、小さいよりはすこし大きいくらいのアパレルブランドショップの設計施工会社でガッツリブラック、ガテン系で3年過ごさせてもらったおかげでまだいくぶんかその頃の感覚があると思う。なにせ辞める2か月前は3日家に帰らずユニクロで下着を買って現場を渡り歩き、挙句の果てにはストックルームとフィッティングルームで仮眠していたような生活だ。

 当時で20代後半、よかったのか悪かったのか今でもよくわからないがチームでものをつくる面白さにとにかく夢中だった。

ロンドンで働いてもう18年?!
 そんな人間がロンドンにやってきて英語を学ぶところから始めて紆余曲折あってイギリス人のやっている事務所に入った時はそれこそ、

「なんでもやりますワタシ!」

 てな感じだった。その前段階で日系の会社にいたおかげで仕事がどうにかできるだけのコミュニケーション能力はある。ラッキーなことにイケイケドンドン状態だった事務所は多国籍なスタッフぞろいだった。最初に入ったチームはボスがイスラエル人でリードデザイナーがスコットランド人(こっちではイギリス人という人はあまりいない)、同僚が韓国人、ブラジル人、ガチムチゲイのドイツ人、モーリシャス系のイギリス人とあとオーストラリア人もいたっけな。英語が微妙な同僚が数名いたおかげで随分助かった。

 リーマンショック時には一気に半分のサイズになったり(この時のリストラはすごかった)、その後もことあるごとにリストラがありつつもなんとか生き残り、その後もイギリス人のオーナーが事務所をアメリカの事務所に売り渡し、気づけばオーナーがアラブ系デベロッパーになったりしながらもそれなりに処世術を蓄えながらゆるゆると出世して気づけば13年と7か月。

 人に首を言い渡したり採用を明言したり、出世や昇給を主張してくる部下たちをいなしたり受け入れたりとするのも仕事の内と思えるようになってきたのと自分がこのままこの仕事をしていたいのかを考えるのは重なっていたように思う。いわゆる中間管理職クライシス的な感じかね。事務所を辞める決定打だったのは、
「自分はこの仕事を10年後もしていたいか」
という問いの答えが、
「否」
だったから。

キャリアアップとは
 日本でもずいぶんそうなってきた印象があるが、こちらでの転職の主な理由がキャリアアップのために肩書が欲しいとかもっとお給料が欲しい、というのが最もポピュラーな理由だろう。自分がやりたいことができる場所に移るため、というのもよく聞く。これははやり立場が上になってきた人にありがちだ。むしろ外から評価されていて内で評価されない人がひとところにとどまり続けるのは理解しがたいと思われがちかもしれない。
 なんか分けありなんじゃないのとか、転職する自信がないのねとか言われたりもする。要するに自分の能力や成果に対して会社や上司はそれらを評価するべきである、ということがとても重要なのだ。そしてそれを主張しない人は評価を求めていない、ということになる。これは昭和の日本人にはなじみのない感覚だろう。

 そうなると転職をちらつかせて昇給や肩書を迫るなんてのもよくある。根回しで年収150万円アップさせたという後輩の話を最近聞いて正直うげーっと思った。彼の能力を知っているがそりゃぼったくりだとも思うが、その時点でのその会社には必要な人材だからこの場合は仕方がない。

 だからと言ってみな簡単に転職するわけではなくそれはそれでみな慎重だ。現職を維持しながらじっくり交渉して、納得のいく形で決着がついてからでないと移動したりしない。もちろんはっちゃけて辞めちゃったなんて人も何人か観てきたがむしろそういう人こそちゃっかりしていてさくっとええってところに職を得ていたりする。ようは交渉能力がもの言うというか。

 最近朝遅れてくるなぁとかお昼長いなぁとかいうのが続くと、
「あ、コイツよその面接受けてるな」
 とわかっちゃったりもする。まぁその辺はどこでもある上司と部下の信頼関係であり、サインを出してくれるか、そのサインを見逃さないかがポイントで。

 自分を過大評価して売り込みがうまいひともたくさんいる。けれど実力と立場があっていないで出世しているひとはどこかたいへんそうに見える。まぁ常にハッタリ効かせて生きていくのは楽ではないだろう。

自分にとってのキャリアアップ
 そういう人たちの中にいると自分がちょっと違うところに焦点があるのがわかってくる。
 ワタシはあんまりそういうハングリー精神はなかったが、その代わりに自分は

「なんでもできるヒト」

 になりたかった。それこそ仕事を取ってくるところからクライアントのブリーフィング、設計のコンセプトからコーディネーション、はたまたは入札図面やその他書類、法規から現場監理まで全部なんでも知っていたいしやってみたいヒトだった。なのでそれこそはたから見たら

「なんでもやるヒト」

 だったろう。日本でがっつり現場をやっていたおかげで職人との交渉のやり方もそこそこ知っている。英語がまだまだ怪しかったころはそれこそ職人や現場、エンジニア系のコーディネーションをがっつりやった。この辺は現場を収めるのが目的だから言葉がちょっとくらい怪しくてもものを決めてくれる人の言うことを聞くのだ。

 そんな中でも最後まで残ったやってみたい、やれるようになりたいリストが、

「クライアントからまず電話がくるヒトになる」

 というのと

「社内でデザイナーとして評価される」

 というのだった。そして皮肉なことに前者を達成するのはわりと早く、後者は本当に辞める2年くらい前までかかった。これは政治力のせいだ。しかも評価されたのもやはり社外からで社内的にはちょっと曖昧な感じで。

 それでも社内外で評価されている実感はあり、かつ当初作った

「やれるようになりたいリスト」

 がその事務所に勤めてから8年くらいでコンプリートしてしまった。もちろんどんな仕事でも毎回違うチャレンジがあるし、チームもクライアントも違うしで常に新しい挑戦はある。けれど15年以上同じ業界にいると新しいことも挑戦もどこかこれまでのバリエーションというか、それなりに楽しめつつも同じ種類のストレスやフラストレーションの方が勝ってしまう感が強かった。コロナ以降はオフィスデザインというよりは人の働き方の方に挑戦がありそれを面白いと思い始めていた。

日本語と英語での情報量の違い
 会社を辞めるまでに考えた色々なこと、自身が得たキャリアのこと、それらを踏まえてこれからどうしたいのかをずっとじっくり考えたいと思っていた。闇雲に考えてもしょうがないなと思いGoogleさんとYouTubeさんにいろいろ聞いてみる。するとなかなか面白いビデオがあるある。ハマると半年くらい使っちゃうなと思い1つか2つに絞って観てみた。わかりやすくていいと思ったのがとあるビデオ。リンクを張ろうと思ったのだけど見つからない…のでポイントだけ紹介。
 確かLinkedIn Learningだったんだけどなぁ。英語でサーチすると似たようなものがたくさんあるけど日本語だとヒットしません。Youtubeでも日本語だといわゆる流行りのYouTuberものの決めつけものしかヒットしないよぅ。今後広まっていくだろう分野なのかも。キャリア開発、という用語が一番近いみたい。

 気を取り直してワタシがメモッたノートによると4段階で、

1. 自分を知ることとは
  a. 自分の現状についてどう思うか
  b. どういうことをしてきたかそしてこれからやりたいか
  c. 自分の強みとは
  d. 仕事において何が自分にとって大切か

2. 成長することとは
  a. どんな職業につきたいか
  b. どういう経験、技術を得たいか

3. 決断することとは
  a. 得たい仕事をつくために何が必要か
  b. 自分に必要な経験と技術があるか
  c. 実際その仕事が存在するかそしてその仕事を得る現実味があるか
  d. 選択肢が複数あるならばそれぞれの良欠点はなにか

4. 実行することとは
  a. 実現するためになにか必要なことはあるか
  b. どこでその仕事をみつけるか
  c. 誰かサポートしてくれる人はいるか

 これらをベースにもっとシンプルに我流にやってみた。というか考えを図式化(ダイアグラム化)するのが趣味なのでたまごごはんバージョンを次回で。

つづくっ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?