【IPランドスケープ】IPランドスケって、なんのスケ?その3 知財アナリストはどう動くのか
事業部門や技術部門と連動して、戦略を立てるIPランドスケープ。IPランドスケープは「魔法の箱」と思われがち、という話の続きです。
■知財アナリストはどう動くのか
とりあえずIPランドスケープしてみて!といった話を、前回に触れました。色々と試行錯誤した結論として、私が考えているのは、IPランドスケープは「仮説を持つことが全て」、ということです。
何を今さら?と思われるかもしれません。ですが、実際のところは、仮説が無い中で苦労されている方は多いのではないでしょうか。
仮説には、スコープと、仮の結論がセットで要ると、私はと考えています。これは、前回に述べたことの裏返しです。
仮説のイメージを考えてみます。
少し唐突ですが、食品メーカの調味料を考えます。スコープは食卓用醤油。所望の量の醤油を出すことができれば、塩分の取りすぎを防げるし、好みの味を実現できるハズ。ではそのキモとなるのは、吐出量をコントロールする技術だ。といった具合です。
ではその仮説を持てない理由は何か。2つの場合があると思います。
1つめは、仮説が要るという理解そのものが共有できていないという場合です。
これは、「魔法の箱」そのものですね。IPランドスケープそのものの理解が浸透していないことが一因と思われます。
2つめは、仮説を持つこと自体が難しい、という場合です。
実は、こちらのほうが大きいのではと、最近は思っています。世の中難しくなっているということですね。少し前では、AI、IoT、5G・・・。コロナ禍では遠隔コミュニケーション。最近ではChatGPT。どんなニーズや技術がいつ出てくるかが、非常に読みにくくなっていると思います。
では、知財アナリストはどうすればよいのでしょうか。
やはりですが、IPランドスケープは仮説がないと機能しないと思います。
とすると、兎にも角にも、仮説を設定するところから始めざるを得ません。
相手方の考えていることを、何でもいいので、少しずつ引き出せると理想だと思います。
・どんなプレイヤーが気になっているか?
・気になっている技術は何か?
・どんな領域で事業を作りたいか?自社事業の延長か?どこまで飛び地であって良いのか?
この糸口をつかめれば、しめたもの。その周辺から見ていくことができます。(少なくとも、行動に移せます)
とはいえ、その糸口をつかむことすら、難しいこともあると思います。その場合は、スコープを絞って仮調査し、相手の反応を見てみることを繰り返すことだと思います。仮説を一緒に作るという形ですね。目的は相手の言語化されていない考えを引き出すことなので、精緻な調査結果を示すことではありません。相手の興味から、ハズれてても全然構いません。ポイントは、荒くとも早く回すことだと思います。
結局のところ、知財アナリストの役割は何になるのでしょうか。それは、「ファクトとロジックの補強」だというのが、現時点での私の考えです。つまり補強する対象として、仮説がないと動けないのですね。とはいえ、仮説を作る難しさも理解の上で、泥臭い活動ができるか。その活動を通じて、他部門との信頼関係を築けるか。そこが、今後の知財アナリストの腕の見せ所になるのではと思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
また示唆があれば、続きを投稿しようと思います。
#IPランドスケープ
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