見出し画像

できない文系院生の悲惨な末路(13)

さて,間違った前提のもとで分析した論文.もちろん,結論も間違っている訳なので学術的な価値はゼロである.それどころか,そんな論文で修士号など出してしまうと大学院として大問題になる.しかし,修士論文の提出期限は研究会の翌々日,1年かけてこんなものしか書けないMくんが2日間で修正できる訳がない.指導教員もここで提出を諦めてくれるだろうと高をくくっていたのだが,Mくんは信じられない行動に出たのだ.

Mくんは2日後に迫った締め切り日に取り敢えずダミーの修士論文を事務方に提出したのだ.修士論文の受付は学務係で受け付けるため,事務員がその論文が間違っているかどうかなど調べることはできない.期限内に出したかそうでないかだけが問題なので.Mくんのレベルでは2日で修正などできないような致命的なミスであったが,期限までに提出しないと修士号の審査まで進まないのである.内部進学の場合は,修士論文の審査が博士課程への進学執権に代替されるため,おおよそ1ヶ月の猶予がある.そこでMくんは取り敢えずのダミー(先日,研究会でボコボコに叩かれたあの問題論文)に表紙を貼って提出してしまった.そして,副査の先生と指導教員に泣きついて差し替えを頼んだのだ.それも,〆切が過ぎたあとに.

Mくんはこうした少々ずるいところがある.他人を出し抜くといことをちょいちょいしでかす.この点については後日談で述べるが,ともかく提出してしまったあとに頼みに来るもんだから指導教員は提出をやめさせることもできない.もちろん,指導教員は大激怒なのだが,修士論文の審査であからさまに自分のゼミ生を落とすことは指導教員の指導歴に傷がつくため,そんなことはできないとを読み込んだうえでの暴挙であった.

しかし,過日のゼミでの行い(自分のミスを他の院生のせいにしようとした)で,すっかりゼミ生の間で信用を失ったMくん.誰もMくんの味方になってくれる人もいない.実際に修正が完成したのか否かは審査委員の先生のみが知っている.しかし,取り敢えずのウルトラCで論文の提出を切り抜けたMくんであるが,重大なことを忘れていた.博士課程の進学試験で修士論文の発表会が試験に代替されるのは「博士進学コース」の学生である場合であった.(本人もすっかり忘れていただろうが)Mくんは修士専修コースで入ってきたため,博士課程の進学は別の大学の修士課程を終えた学生と同じ試験を受けないければならなかったのである.そして,語学も外部の基準で評価されるのだった.またもや,Mくん.大ピンチである.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?