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できない文系院生の悲惨な末路(8)

就職が厳しい文系大学院生(特に博士課程)にとって,私募はアカデミックポストにつく重要な手段である.指導教員から

〇〇くん,あなたに就職の話が来ています.どうですか?

と声をかけてもらうためには,指導教員に「僕は優秀です」ということをゼミや研究会を通じてアピっておかなければならないので「ニワトリのつつき」の箇所で述べた通りであるが,実際にその「つつき」はどのように行われるのであろうか.一例を挙げると,ゼミで指定されたテキストを輪読する場合,あらかじめ予習をするわけだが,ニワトリのMくんが報告を行うときは,ニワトリMくんが理解していないであろう箇所を理解した上でゼミの時間,指導教員の目の前で質問するのである.Mくんの報告には前にも言った通りツッコミ処満載なのである.その中でも多いのは,

(1)英語が読めないので訳の分からない訳をして論理的に理解不能な説明

(2)自分が分からないところは,ゼミで飛ばしてやり過ごそうとする.

(3)書いてもいないのに自分にとって都合のよい解釈や仮定をする

であった.したがって,Mくんを轟沈させるのは別に酸素魚雷を10本も打ち込んだり,機動部隊が左舷だけに爆薬を集中するなんてことをする必要はない.穴あきまくりのレジュメに一部をちょっと突いてやるだけでよかった.例えば,

先輩の院生:

Mくん,すみません,確認なんですが,××の箇所,どうしてそのようになるのですか?

と.もちろん,質問する側はそんな箇所は質問しなくても分かっているが,Mくんが答えられない上で質問するのだ.大学院では,同じ研究室に所属していても友達ではない.アカデミックポストを競うライバルなのである.ゆえにこのような陰湿な行為がはびこるのである.質問されたMくんは周りを人一倍気にするヤツだったので取り敢えずその場をやり過ごそうと適当な返答をする.例えば,テキストでは何も仮定などされていないので,

Mくん「そこは■■と仮定されています

そうすると,周りが「しめた!」と思い,それについてどんどん突っ込み始める.ウソにウソを重ねるので益々つじつまが合わなくなる.結果.,指導教員がその姿を見て激怒するのだ.Mくん,毎回,研究室に夜遅くまでのこり,「いやぁ,徹夜でした」などと自分が勉強していることを必死にアピールするのだが,手に付かず座っているだけであることは他の研究室のメンバーは知っているので,「お疲れさん」と言いつつ,心の中ではクソ馬鹿にしていたである.同期のKくんや修士1年のJくんやTくんに必死に,「オレ,バカじゃないから?」ということをアピールするため,

Mくん「いまXXの論文読んでいますけど,ちょっと問題ありますね
などと,欧文査読誌の論文にケチをつけたりするのである.そうこうしているうちに,修士論文を書かなければいけない時期が来る訳だが当然そのような能力がMくんに備わっていないことは指導教員を含め周りはみんな分かっているのでMくんは修士課程で辞めるものと思っていた.しかし,その予想は大きく裏切られることになる.

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