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できない文系院生の悲惨な末路(9)

大学院は修士課程2年と博士課程3年に分かれている(一部の大学では5年一貫).文系院生にとって人生の選択をする最終ゲートであると言ってもいい.理系ほどではないが文系でも修士課程までならまだ研究者以外の道に進むことも可能である.事実,筆者が属していた研究室でも,優秀で博士課程に進学すればいいのになぁと思う後輩の中にも公務員試験に合格し,修了した院生もいた.ある大学では修士課程の学生が3分類されると聞いたことがある.1つは,「博士課程に進学を許可される層」,2つ目は「修士号はあげるけど博士課程(少なくともうちの大学の)は来ちゃだめだとされる層」,そして「修士号は出せないね,もちろん,博士課程に進学なんて論外だよとされる層」があるとのこと.その分野の基幹科目がすべてAでないと最初の層には入れないらしい.

筆者が所属していた大学院では,定員が埋まらず開店休業の先生がたくさんいたので既述したような大学院と異なり,簡単な試験(英語)を受ければよい.ただし,それは博士課程進学コースの修士の院生の話であり,修士専修コースのMくんの話ではない.しかし,Mくん,あれだけ毎日,ゼミの報告では失敗し,院生カースト最下層にいたにもかかわらずKくん同様,博士課程に進学しようとしたのである.ハツカネズミほどの脳みそがあれば,いま自分が置かれている状況をみればとても進学する気になどならないのであるが,やはりそこはMくん.大学院にいるだけで特別な層にいるとでも思ったらしい.大学院の中では院生カースト最下層で,つつきの対象である「ニワトリ」であっても,大学院の中での状況を知らない人は,Mくんが大学院(で研究しているのではなく)に通っているというだけでMくんはすごいと勘違いしてしまうだろう.つまり,Mくんにとって大学院に在籍することのメリットはそれなりにあるわけだ.

もちろん,博士課程に進学するためには先にあげた語学の試験だけではなく,研究能力を測る修士論文の審査にパスしなければならないのだが,ニワトリのMくんにとってどれほど高い山なのかを分からないMくんは無謀にも修士論文を書くと言い出したのである.指導教員にしたらさっさと修士課程でお引き取り願う予定だったMくんが進学したいと言い出し,困惑した表情を浮かべた.

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