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できない文系院生の悲惨な末路(14)

大学院の修士課程から博士課程へ進学する際,修士課程までは別の大学院から博士課程へ進学してくる人のために試験が課される.もっとも,博士課程進学コースの学生は単なる奨学金獲得の試験にぐらいしか考えていない.進学試験の語学なんて特段勉強しなくても普通にすれば合格するからである.

しかし,Mくんは修士専修コースであったために,学部から編入してくる院生と同様に博士課程の進学試験をパスしないといけないのだ.先日,明らかに間違いを含んでいると知りつつ,差し替えという荒業で修士論文を提出したMくんであるが,その一時凌ぎもつかの間,博士課程の進学試験を受験しなければならなかった.

ちなみにMくんの語学力をいうと,散々なものであった.英語なんて高校までの勉強をきちんとしておけば特段何も準備は必要ない.もちろん,知らない単語等はあるにせよそんなものは単に覚えば済むことである.ところがMくんは基本的な文意をつかむことができない.毎回ゼミでは「どうしたらそんな訳になるんだ」という訳を連発していた.英語で突っかかるもんだからMくんの発表のときはその論文の中身の吟味ということろまで行かないのである.

Mくんの同期であるKくんは,既に日本学術振興会のDC1に採用が内定していた.したがって,多くの院生が糧となる日本学生支援機構の奨学金は特段必要がなかった.そういったこともあり,気を抜いていたとは思えないが,珍しく大失敗してしまい合格者の中で最下位となってしまったので.ただ,がDC1にも採択されているというポテンシャルもあるため,周りに院生は冗談ぽく茶化していた.Mくんは自分が最下位でなかったことに気をよくして他の院生と普段は届かない位置にあるKくんをいじっていた.

しかし,その後,Mくんはブービー,すなわち,Kくんのつぎに点数が低かったのである.また,指導教員はMくんが最下位であれば,学力を理由にお引き取り願う予定であったが,目をかけているKくんを引き受けるためM君んにお引き取り願えなくなってしまったという訳である.こうした幸運が重なり,なんとMくんは実力もなにもないまま博士課程の進学を果たすことになる.他の院生はその行為がこののちに引き起こす悲惨な状況を予想した.


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