介護施設で現場職員からできる「より良く」への取り組み

先日ユニットの利用者のばあちゃんを1人連れて車で近くの大型スーパーに買い物に行ったのね。

これは「買い物企画」とかじゃなくて。

もともと業務中にユニットの消耗品(おやつとか歯磨き粉とかティッシュとかいろいろね)等を買いに行くことはOKが出ている職場で。
で、どうせ職員がちょいちょい買い物に行くなら、そこに利用者も連れていけばちょいちょい外出できるじゃない、と。

この行動の目的は「買い物企画の実行」ではない。

利用者の日々の役割や楽しみの選択肢を増やすこと。行動を選ぶ範囲を広げること。
そのひとつとして「気軽に買い物に行く(外出する)機会がちょいちょいある」という選択肢を増やそう、ということなんだ。

この買い物の良いところは、もともと職員が買い物に出ていたものに利用者を伴うだけなので、新たにリソースを必要としないこと。
もちろん職員だけで行けば20分で戻れる買い物に利用者を伴えば1時間になるかもしれない。
でも、その40分をどうしても惜しむ理由は特にない(惜しむようなシフトの日にはやらない)ので、利用者の選択肢への時間の投資と考える。

この外出は、頻度を上げていけば「行こうと思った時に手を上げれば外出できる」という選択肢になる。

もちろん施設全体のイベントとかノルマじゃないので行かなくてもいい。
1回だけのイベントとなればなんとか連れ出したくなるのが職員の思いでもあるけど、毎週のように機会があれば行かせることに拘る意味もないので、行くもやめるも気軽にできる。
「外出の企画」じゃなくて、単に「毎週水曜なら車で買い物とか行けるから行きたい人言ってねー」という話しだ。

こちらから誘うこともするし、当日なんとなく行きたくなくなったら行かなければいい。違う人でもいいし、職員だけでもいい。

この外出を実施した結果、次のユニット会議の際に、利用者の今後の行動についての話しで外出を含む話が激増した。
ユニット職員の間にも「気軽に外に連れていっていいんだ」という考えが広がったからだ。
これは職員にとっても選択肢が増えて範囲が広がったということで、とても良い傾向。

こういう実績をつくることで、次の選択肢を増やすときにポジティブに受け入れてもらいやすくなるし、上にも意見を通しやすくなる。

うちの施設は特養だけど、利用者にお膳を運んでもらうし、洗い物もしてもらうし、掃除機だってかけてもらう。
こういうことだって、ダメな施設は「危ないからダメ」と言われるだろう。
だから「危ない」と正当に比較してもらえるモノを用意して、きちんとプレゼンする。
それは利用者が本当に望む暮らしであって、そのために主体的に生きることを支えること。自立支援だ。
偉い人に逆らうんじゃなくて、偉い人が聞いても「それいいね!」と思われないといけない。

うちは、今後「外出したければちょいちょい行ける施設」になる。必ずする。
選択肢はどんどん増やすけど、もちろん「毎日部屋でテレビを見てる」を選んでもらっても全然いい。
選択肢があることと、どの選択肢を選んでも同じように支援することをわかってもらえれば、その上で何を選んでも、まったくもって本人の自由だから。

次は寝たきりのばあちゃんの部屋で座談会やろうかな。
みんなでわいわいするのが好きだったんだって。

「部屋に職員がわいわい遊びに来る」も選択肢にする🙂

#介護 #高齢者 #福祉

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