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地産地消で魅力再発見/JA全農フードマーケット事業部職員・今井明佳さんに聞く

 新型コロナウイルス感染症の5類移行で、各地で人の往来が戻ってきた。これを機に東北の食や農産物の魅力をいかに発信し、消費拡大につなげるか。JA全農(本所東京)が全国に展開する「みのりみのる」ブランドの飲食店のうち、仙台市のカフェやレストランを担当するフードマーケット事業部リテール事業課の今井明佳さん(39)に聞いた。
 ―「みのりみのる」ブランドを冠した飲食店の役割は。
 「『国産食材100%使用』と地産地消をコンセプトに、外食産業での国産農産物の利用促進を目的として全国規模で展開しており、それぞれの地域の食材をJA直売所から優先的に仕入れている。仙台市には『グリルみのる』『みのりカフェ』の両店舗があり、東北の食材をメインに使ったメニューを提供している。農産物を実際に食べてもらい、消費者に『おいしい』と言ってもらうことが、生産者の一番の励みになる。消費拡大・PR強化に向けた食材フェアも積極的に展開している」
 ―東北の食、農産物の魅力や可能性は。
 「寒さの厳しい環境から生まれた鍋料理など、多彩な食文化が各地にある。米どころで、各県こだわりの銘柄米もある。全国的に高い評価を受けている和牛や野菜、果物も豊富だ。生産している農産品も多様で、同じ東北内で競合しにくいのも特徴の一つ。おいしい漬物も多いが、塩分が多め。仙台のグリルみのるでは、仙台牛のステーキや三陸産カキのフライなどメインのおかずと野菜をバランス良くとってもらえるように工夫している。仙台牛など和牛は、最近回復してきている外国人観光客に人気だ」
 ―東北の「味わい」の発信に向けた思いを。
 「東北には素晴らしい魅力と可能性を兼ね備えた食材がたくさんあるが、地元ではその価値について認識不足だったり、打ち出し方が弱かったりする。都市圏への浸透を図りつつ、東北での消費拡大も重要だと感じている。みのりみのるブランドの飲食店舗は、東北の農産物のPR拠点として、生産者の思いも併せて届ける場でありたい。産地直送通販サイト『JAタウン』を通じた商品販売や交流サイト(SNS)での情報発信も行い、東北食材の認知拡大を図っていく。東北6県本部が連携して運営する『全農東北プロジェクト』では、東北の農産物を活用した商品開発や販売企画に取り組んでいる。プロジェクトとの連携を強化し、産地の声や意見を生かした取り組みにつなげたい」

いまい・さやか 2006年全農青森県本部に入会。園芸部りんご課や米穀部米穀流通課、管理部企画管理課などを経て、19年に本所広報・調査部広報SR課へ本部間異動し、広告宣伝業務などに従事。23年から現職。39歳。青森県平川市出身。

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