人生、尺取虫としての

僕が尺取虫として地を這っていた時
彼らは葉を食んでいた
僕が尺取虫として枝を登った時
彼らは蛹を作っていた
僕が尺取虫として葉を食んだ時
彼らは蝶として空を飛んでた

僕の超えられない高い垣根を
いともたやすく飛び越えて
鳥の餌になるとも知らずに
愚かに高く…高く

「食われちまうぞ」と忠告しても
耳を貸さない。声が届かない。

それは本当に忠告だったのだろうか?
僕の行けない空へ行き、
見れない景色を見る彼らに嫉妬しただけ、
だったのだろうか。

僕が尺取虫として擬態した時
彼らは鳥の糞となっていた
僕が尺取虫として蜥蜴に噛み砕かれた時
糞と化した彼らの墓から芽が出ていた

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